最近では全国有数の「暑い街」として知られる岐阜県多治見市。古くから焼き物の町として知られているが、市民が口を揃えて勧める2つの国宝と美しい庭園を持つ古刹がある。

 景色が中国廬山の虎渓に似ていることからその名がついたといわれる、虎渓山永保寺(こけいざん・えいほうじ)だ。

建てられたのは、今から700年以上前の鎌倉時代、1313年(正和2年)。

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この場所が修行するのに適した土地だということで、永保寺が建てられたのが始まりだという。

永保寺の執事:
「なんといっても国宝が、当時からの建物がありますので」

永保寺の観音堂。

永保寺の執事:
「当時の建築法で唐様といいますか、そりが入った、この永保寺の一番大事なお堂と言っても過言ではない」

永保寺の本殿であり、唐様建築と和様建築の手法を折衷させた珍しい建物だ。

国宝のため普段はなかなか入れない観音堂を、特別に見せてもらった。

永保寺の本尊、聖観世音菩薩坐像(しょうかんぜおんぼさつざぞう)。座っている観音像だ。(毎年3月15日に開帳)

珍しいのが、観音様を囲うようにしている木の枠「厨子(ずし)」。

永保寺の執事:
「実は土岐川の流木を組み合わせて作った岩窟式厨子(がんくつしきずし)っていう。これもまた珍しいかなと」

永保寺の執事:
「胎内を表しているという事が言われていたり、実際にすごく大事に守られているなという感じが、なかなか趣があって柔らかい感じもしますよね。荒々しさもありますけど」

岐阜県内には建造物の国宝が3つあるが、永保寺にはそのうちのもう1つ「開山堂(かいさんどう)」もある。

足利尊氏が寄進した建物だ。

リポーター:
「屋根が2つ奥に…」

永保寺の執事:
「そうなんです。建物の中にお墓があるわけなんですけど、そのお墓の上にお堂(祠堂・しどう)を…」

永保寺の執事:
「またそのあとに、お堂を拝むための礼拝(らいはい)の場所として建物(昭堂・しょうどう)を付け足したということで、なかなか珍しいんじゃないかなと思います」

寺の創始者を祀った建物で、墓とされる祠堂(しどう)と礼拝場所の昭堂の2つをつないだ造りになっている。

また、永保寺の池泉(ちせん)回遊式の日本庭園は、国の指定名勝庭園に指定されている。

滝、国宝の観音堂、橋、そして毎年11月下旬ごろ紅葉が見ごろになり、美しい景色が揃う。

永保寺の執事:
「今日は滝の水で少し波立っていますけど、水面がきれいなときは鏡のように、それこそ逆さ富士のような感じで映るんですね。本当にきれいに青空も映りますので、とてもきれいに見えると思います」

2つの国宝や美しい景色を持つ虎渓山永保寺は、多治見市の大切なスポットだ。