爪をピカピカに磨いたり、カラーネイルで指先を彩る「ネイルサロン」が、いま男性の間で人気だ。キレイになりたい若い男性から、指先に悩みを抱える男性も集う名古屋市東区のサロンで、ネイルに夢中になる男性の思いを聞いた。

■25歳エンジニアの男性「男性からも女性からも格好良く見られたい」

 名古屋市東区の「Mネイル&カフェCHEZ RESTE(シェ レステ)」。

【動画で見る】俺達だって指先を美しく華やかに…“ネイルサロン”に男性急増のワケ「気合入る」

システムエンジニアの男性(25):
「色とかではなくて、爪をジェルでコーティングして。僕はナチュラルに見せる派ですね」

ネイルは“ナチュラル派”だという男性。始めたきっかけを聞いてみた。

システムエンジニアの男性(25):
「(周りに)清潔感のある人だとか、身だしなみが整っている人が多いので、そういう人に負けないようにというか…。男性から女性からも、どっちの視点からもかっこよくみられたいっていう」

仕事の大半は、キーボードをカタカタ…。同僚にも、その指先を見られることが多いと言う。

この日も爪の表面を磨いたり、透明なジェルでコーティングする、いつものコース「メンズジェルネイル」。爪の整形に甘皮処理、ジェルネイル。約1時間で料金は5500円から。

コースを終えると、ネイルはピカピカに。

システムエンジニアの男性(25):
「(同僚の女性に)『私よりきれいじゃない?』みたいな風には言われますね。気分が上がりますね。もう、自己肯定感マックスで!」

ネイリストの女性:
「気になるところないですか?」

システムエンジニアの男性(25):
「完璧です」

■男性客は約3割…ネイルを「彼女に報告」や「SNSにアップ」も

 ネイルサロン「Mネイル」は、この「久屋店」をはじめ、名古屋市内に3店舗を構えているが、ここ2~3年で、急激に“男性客”が増えているという。

会社員の男性(27):
「初めてです。初めてきました。いやー、緊張しています」

メンズネイルが気になって、今回、初めて来店したという男性。

ネイリストの女性:
「ハンドケアコースってメニューが、一番メンズの方に人気です」

初心者にもおすすめの、「ハンドケアコース」は、爪の整形、甘皮処理、磨きで約30分。料金は3300円から。

まず、爪の表面や先端を磨き形を整えて…。

より美しく見せるため、爪の根元の甘皮やささくれを取り除く。

ネイリストの女性:
「やすりの目の粗いものから、爪の表面をならしていって…これがツヤが出るやすりです」

会社員の男性(27):
「なんかジェル塗ってるみたい」

まだ磨いていない爪と比べるとピカピカになっているのがわかる。

会社員の男性(27):
「感動しました!普通に。すごくきれいになった。自己満足ですね」

“自己満足”とはいうものの…。

会社員の男性(27):
「(彼女にメールで)『ネイル行ってきた、ほれ!』って送りました。そんなバッドな反応は来ないと思いますけど」

初めてのネイルは、大成功のようだ。

オープンから12年になる、「Mネイル」の本店(名古屋・中村区)。

今では、全体の3割が男性客だという。

IT企業の男性(29):
「営業やってるんで、清潔感とか大事かなと思って。YouTubeとかで美容系のやつ見たりするんで、自分もやってみようかなって。磨くだけでこんなにもきれいになるんだっていう」

この男性はちょっと大胆に、紫と緑のカラーで彩った。

建築業の男性(22)
「いや、もう最高です。さっそくスタバいきます。コーヒーもって、インスタに写真上げます。ネイル変えたっていう」

SNSでたくさんの人に“見てほしい”…。そんな男性が増えているようだ。

■“巻き爪”の補正に加え手の爪のケアも…56歳男性「スマートな男になるのに絶対いい」

 スーツが似合うこのダンディな男性は、マッサージチェアに座ると、裸足に…。

ネイリストの女性:
「痛いです?いま?」

経営コンサルタントの男性(56):
「ちょっとね、“巻き爪”が完全に上に行っちゃってね」

56歳の経営コンサルタントの男性。両足の「巻き爪」に悩まされ、7年ほど前から多いときに月に2度、足を運んでいる。

経営コンサルタントの男性(56):
「こちらのバンドを貼って、ちょっと(爪の)角のところを持ち上げるっていう形で施術させていただいています。いまからサイズを合わせて貼っていきます」

親指の爪に、透明のバンドを貼るだけ。これだけでも両サイドに入り込んだ爪が持ち上がり、痛みが軽減されるという。

経営コンサルタントの男性(56):
「すごく効くもん」

ネイリストの女性:
「そうですね。結構、持ちがいいと思います」

経営コンサルタントの男性(56):
「あと、効きも早いと思うんで」

「巻き爪の補正」にくわえ、「手の爪のケア」も。ただしオシャレのためというよりは…。

経営コンサルタントの男性(56):
「ささくれがひどいのと、乾燥してるもんね。ネクタイひっかかって、スーツにひっかかっちゃって。(ネイルサロンは)リフレッシュするっていうところと、ケアするところ。なくてはならないところですね。スマートな男になるためには、絶対いいと思いますよ」

スマートな男を目指す、この男性。磨くのは、爪だけではなく、“カラダ磨き”にも力を入れているそうだ。

50代には見えない体だ。

■飲食店勤務の男性の「がっつりネイル」は客からも好評

 名古屋駅近くにある店舗には、個性的なファッションの男性が訪れていた。服装や髪型に加え、新たな“武器”を手に入れたいと、半年前からネイルを始めた、木村和馬さん(27)。

木村和馬さん:
「自分の武器が欲しいな、みたいな。ファッションは“鎧”だと思っているので、街中を歩く上での人の目とかを、いかに魅了させるかっていう」

ネイルにしたいイメージ(スプラトゥーンのイカ)を、スマホで伝えると…。

ネイリストの女性:
「かわいい」

木村さん:
「本当にこういうイラストのイメージで…。わざとペチャっとペンキを塗ったような、飛び散ったようなイメージでお願いしようかと思って」

ゲームのキャラクターをイメージした、がっつりネイルをオーダーした。

ネイリストの女性:
「他の指も(色を)ペチャっとしたほうがいいですね?」

木村さん:
「そうですね~」

黒をベースに、8色ほどを使い、じっくり丁寧に、約2時間…。

ネイリストの女性:
「おまたせしました。おつかれさまです~」

木村さん:
「すごくかわいいですね。自分のイメージ通りにやっていただけたかなと。大満足です」

木村さんは昼間はジンギスカンや馬肉などが楽しめる店で、夜はバーテンダーとして働いている。

飲食店でこのド派手なネイルは…と思いきや、客の反応は…。

木村さん:
「ユッケ丼でございます」

男性客:
「爪が…」

木村さん:
「スプラトゥーンのネイルを」

女性客:
「あ、へぇ~」

女性客:
「かわいいと思います」

男性客:
「爪もファッションの1つになると思うので、いいと思います」

客との話のタネになっていた。

ジンギスカン店の店長:
「それをしていて、仕事をしっかりしていなかったら、『やっぱりな』って思われることが多いと思うんですけど、ネイルだったりとか、派手な見た目をしていることがプレッシャーになって、より仕事に励んでくれるんじゃないかなと、プラスに考えるようにしています」

ネイルアートが客との距離を縮め、仕事のモチベーションにもなっていた。

■「爪を磨いて気持ちも磨く」…“なりたい自分”が溢れるネイルサロン

男のオシャレは“指先”から…。

製造業の男性(30):
「女性のやつ(ネイル)も普段より見るようになって『あ、キレイだな』って思って。参考にさせてもらったり」

女性客:
「指先まで気を遣ってきれいにされているっていうのは、すごく素敵だと思います」

ネイルが女性との“共通言語”になっている。

IT系コンサル業の男性(31):
「細かいところまで気を遣えるという点で、すごい気遣いできる人なのかなとか。そういうことができる人イコール仕事ができるイメージだったり」

「爪を磨いて、気持ちも磨く…」男性が集うネイルサロンは、色とりどりの“なりたい自分”で溢れていた。