その食堂の朝は“干物の陳列”から始まる…80年以上続く専門店の『ヒモノ食堂』隠れた人気メニューはおでん
三重県四日市市で「干物」が人気の食堂が2022年9月、愛知県扶桑町に出店し、近場はもちろん遠方からも客が集まり、評判を呼んでいる。
■脂が乗った干物が人気…愛知県に初出店した三重県四日市市の「干物専門店」
大きなシマホッケや、脂が乗ったサーモンハラスなどおいしい干物が食べられる、三重県四日市で人気の老舗「四日市ヒモノ食堂」が2022年9月、愛知県扶桑町(ふそうちょう)の国道41号線沿いに店をオープンした。
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女性客:
「ボリュームがある中でこの値段というのは、満足ですよね」
男性客:
「近くにこういう所、あるといいなと思います」
別の男性客:
「もともと四日市にあるっていうのは知っていたんですけど、こっちにできたっていうのを聞いて」
一番人気は「シマホッケ」(650円)。身が大きく脂が乗っている。
ほかにも「サーモンハラス」(750円)などが人気だ。
午前6時。食堂の朝は干物の陳列から始まる。
ヒモノ食堂扶桑店の店長:
「この白のラインが脂なんですよね。このラインが入ってるやつ(干物)は、さらに脂が乗って美味しいです」
約15種類の干物が並ぶが、これだけの品が揃うのには理由がある。
店長:
「会社の方が一括して購入しますので、どの魚も全て自社工場での製造になっています」
本店は三重県四日市市で、80年以上続く干物の専門店。
本社でまとめて仕入れることで、値打ちで豊富な品揃えを実現している。
■光る職人技…天気などその日の条件に合わせて変わる焼き方
オープンは午前7時。四日市の本店と同じセルフサービス方式だ。
ショーケースに並べられた約15種類のラインナップから、食べたいものを“かご”にとって、カウンターのスタッフに渡す。
男性客:
「自分で取って持って行くっていうスタイルが、市場みたいで斬新ですね」
渡された干物は、焼き台に並べられじっくりと火を通す。簡単なように見えるが、この焼き方にもコツがあるという。
店長:
「身の方からしっかり焼いて、ひっくり返すのは一回だけです。うまみを中に閉じ込めて、きれいに焼きあがるようにしています」
ひっくり返すのは一度だけ。その日の天気など条件に合わせ、そのタイミングも変えているという職人技だ。
ほとんどの客は、干物にプラス350円でご飯・みそ汁・小鉢が付く「定食」にするという。
男性客:
「前回来て美味しかったんで、また来ようと思いました。僕は早起きなんでありがたいですね、午前7時からだと」
朝はトラックのドライバーなどの仕事をしている人が中心だが、この日は隣の岐阜県各務原市から来たという家族もいた。
父親:
「もともと四日市にあるのは知っていたんですけど、こっち(扶桑町)にできたって聞いて今日は初めてやってきました」
前から気になっていたという父親。
父親:
「脂が乗っていて、すごく美味しいです」
一緒に来た子供も「おいしい」のサイン。
また、夫婦で来店していた女性は…。
女性客:
「家で朝から焼けないから…。焼くの大変だから嬉しいです」
干物は焼くのが手間だが、この店ならすぐに食べられる。
■醤油メーカーと作ったオリジナル旨だれは焼き立ての干物にピッタリ
ランチ時を迎えると、客はさらに増えてきた。
これまで名古屋市から四日市市の店へ通っていたという家族は、愛知県への出店を知り、早速来店したという。
女性客:
「おいしい。なんだろ焼き方ですかね、何がいいのかな。ボリュームがある中でこの値段というのは、満足ですよね」
犬山から来たという別の家族は…。
男性客:
「『四日市に行かなきゃいけないね』って言っていたんですよ。『行かないと食べられないね』って言っていたんですけど、こんな近くで食べられたんでよかったなって思って」
テーブルに置かれていた調味料が気に入ったという客もいた。
女性客:
「このタレが、初めて食べたけど美味しい。お醤油より辛くないっていうか」
三重県の醤油メーカーと共同で作ったオリジナルの旨だれ。
白醤油の上品な風味が、焼き立ての干物の味にピッタリあうという。
■隠れ人気メニューは「おでん」…1本130円でコンニャクや玉子など8種類
ランチタイムの後は「おでかけ」のついでに立ち寄る人が増えてくる。愛知県春日井市から来た男性は、テイクアウトで注文していた。
男性客:
「3回目です。テイクアウトばかり。(酒を)飲むから、これでお家でゆっくり」
持ち帰りは干物1枚につき50円引き。夕食やお土産に買っていく人が、夕方に向けて増えてくるという。
この店の隠れた人気メニューが、“おでん”だ。
1本130円で、コンニャクや玉子など8種類。
四日市ではトラックドライバーに人気だが、扶桑店ではなぜか子供たちや若者に好評だ。
男性客:
「食後のおでんで落ち着く感じです。めっちゃ味が染み込んでいてうまいっす」
午後6時。この時間になると、今度は夕食の客で再び混雑してくる。
地元の扶桑町から初めて来たという女性客は…。
女性客:
「海辺行くといっぱいあるけど、(扶桑町には)こういうところはない。お魚好きだし、だからうれしいね」
店長:
「手応えは十分すぎるくらい感じています。これからも地域密着でみなさまに愛されるように、なんとか継続して頑張っていきます」
四日市で人気の「ヒモノ食堂」は初出店した愛知の店も、滑り出しは好調だ。
2022年10月17日放送