2022年8月、岐阜県土岐市の釣り堀で、店内にあった現金などが盗まれる被害がありました。その際に電気配線を切断され、魚が約3000匹死にました。店長は営業再開を目指していましたが、釣り堀はその後どうなったのか4か月が経ち、改めて取材しました。

■「従業員を殺された…」死んだ魚を前に店長が号泣し訴え

つりぼり本舗の店長(2022年8月):
「大事にね、5年間育ててきたやつだから、何にも言えないよ、どうしたらいいんだろうとしか言えない」

【動画で見る】営業再開し30匹に減った魚は1500匹まで…窃盗犯に電気切られ魚3千匹死んだ釣り堀 今も忘れられぬ“あの光景”

2022年8月、岐阜県土岐市の釣り堀で起きた窃盗事件。店内にあった現金やハードディスクが盗まれ、その際、電気メーターの配線が切られて生け簀の設備が停止。酸素が供給できず、魚3000匹が死にました。

店長(2022年8月):
「僕としては(魚は)従業員だから、従業員を殺されたのよ。鯉と比べたらそんなもの(HDなど)はどうでもいいんですよ、ぶっちゃけちゃえば。これを殺された方がやっぱり悔しいから。これはやっちゃいかんと思うんだよね、本当に…」

もともと魚が大好きで、子供たちにも魚を触ってほしいという思いから始めた釣り堀。

3000匹いた魚は約30匹に。それでも、営業再開に向けて動き出しました。

すると、常連客達が駆け付け、ボランティアで復旧作業を手伝ってくれたり、全国から多くの支援金や激励の手紙が続々と店長のもとへ。

店長(2022年8月):
「店を再開するのがお礼と感謝の気持ちだなと思って。やっぱり店しかない、やるしかないなって」

犯人は今も捕まっていません。

■11月から営業再開し魚は1500匹まで回復!まずは魚の調子を優先

 当時店長は「9月中の再開を目指す」と話していましたが、釣り堀はその後どうなったのか。12月21日、岐阜県土岐市にある釣り堀を訪ねました。

店長:
「11月に細々と、宣伝もしないで営業をしておりました」

笑顔で迎えてくれた店長。11月に営業を再開していました。この日は、届いたばかりのコイ約70匹を釣り堀に放流。

店長:
「これでコイが今600匹くらい、ヘラブナが150匹くらい。あと100~200匹ほど増やせれば、それなりに(釣れる)」

お店のウリであるチョウザメは11匹に。事件後に30匹にまで減ってしまった魚は、1500匹まで増えました。

店長:
「これこれ、生き残りの子!これが生き残りの子、本当にこれ大事」

生き残った30匹の中の1匹。すくすくと成長し、今では新しい金魚のふた回りほどまで大きくなりました。

窃盗事件から4カ月、魚は充実してきましたが、店長は当時のことが忘れられません。

店長:
「忘れようと思っていても、あの状態はずっと目に焼き付いているので。この間の前の状態になっていたらどうしようどうしようってずーっと思いながら来るので、入口を開けてみたら、あーよかったみたいな、生きてる生きてるって」

店長を支えたのは…。

店長:
「心折れた時も、皆さんのご支援とかお手紙とかもいただいたので、それで何とかやらなきゃいけないという気持ちになって、今の状態にはなっていますね」

 今回、再開した釣り堀をぜひと、店長の厚意で記者が釣りを体験することに。店長の丁寧な指導を受けながら、2匹のコイを釣り上げることができました。

店長:
「55センチぐらいか、頑張ったじゃん。おめでとうございます」

営業再開から1か月。新型コロナの影響もあって、客足は減少しているといいますが、まずは「売上よりも魚の調子を優先」として、焦らず1年ほどかけて復旧させていくということです。

店長:
「皆さんの力で(再開)できたので、僕としてはこの大事な子たちを前みたいになくさないようにしなきゃいけないので、そちらを大事に今まで以上にいろいろ研究しながら、死なないように何とか育てられたらなと思っています」

店長の元にはこれまでに100通を超える手紙や支援金の書留が届き、現在も届くといいます。ただ、手紙を読むと泣いてしまいそうなので、まだ読んでいないそうです。