数年の間に離婚や火事を経験…天下の奇祭「はだか祭」主役の“神男” 自らの厄も背負ってもみ合いの中へ
愛知県稲沢市の国府宮神社で行われる「はだか祭」は、1200年以上続く伝統の祭りで、メインは下帯姿のはだか男たちが一心不乱に1人の神男に触ろうとするもみ合いです。
「神男(しんおとこ)に触れると厄が落ちる」という言い伝えから、毎年、熱い男たちの戦いが繰り広げられます。
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この2年はコロナ禍で中止になりましたが、今年2023年は遂にもみ合いが3年ぶりに復活。神社近くの旅館では、参加するはだか男たちの姿がありました。
参加の条件として、検温やワクチン接種証明書の提示、禁酒をした上で本番に臨みます。
祭りの主役「神男」は、はだか男たちの中に一糸まとわぬ姿で飛び込み、もみ合いの中心に。まさに命がけです。
神男の選定方法はくじ引き。今年の神男に選ばれたのは、あま市の建設業・矢澤謙二さん(41)です。
矢澤さん:
「離婚だったりだとか、火事を起こしてしまったこともありまして、辛いことも多かったので」
矢澤さんはこの数年の間に離婚を経験し、さらに経営する会社も火事に。災い続きの人生を一度リセットしたいという強い思いを込め、神男に志願しました。
矢澤さん:
「あそこに自分が入るんだと思うと多少の不安も出てきてますし、どんな景色なんだろうなというのは感じています」
神男は祭りの3日前から神社に籠ります。その前日、交際を始めて4カ月になる松浦美保子さん(39)が、矢澤さんの大好きなコロッケを振る舞いました。
松浦さん:
「最後まで見守って、無事成功してくれることを祈っています」
矢澤さん:
「独り身だったらどうなっていたんだろうってすごい考えているんで。身の回りのことをやってくれたりだとか、これを経験したら大事にしていかなきゃいけないなと思います」
神男は人々の厄を一身に背負いますが、今回矢澤さんは交際相手・松浦さんの思い、本人も「後厄」で、自らの厄も背負って臨みます。
そして3日午後4時半ごろ、参道に神男の矢澤さんが登場すると、はだか男たちが殺到します。水がかけられ湯気が立つ中、神男を中心に人の渦が。
しかし、これでも今年の参加者は1700人ほどと、例年の4分の1程度です。人の渦はおよそ15分ほどで、ゴール地点の儺追殿(なおいでん)付近へ。
そして午後4時54分…。
(リポート)
「もう間もなく、もう間もなく入ろうとしています!4時54分、わずか20分ほどで、いま儺追殿に入りました!」
神男が「儺追殿」に到着すると、はだか男たちや参拝者から拍手が沸き起こりました。