「誰が希望する政策に近いのか」…6人が争う愛知県知事選挙 各候補者が掲げる「経済・雇用対策」は 2/5投開票
6人による争いとなっている愛知県知事選挙は、2月5日が投開票日だ。有権者が関心のある分野について、各候補はどんな考えを持っているのか。重要な争点の一つ、経済・雇用対策について聞いた。
■12月の景気動向を示す指標は全国で27位…街でも聞こえた新知事に期待する「経済・雇用」対策
愛知県の有権者に、新知事に期待する政策について尋ねた。
女性(60代):
「経済面をちょっと上げてほしいなって思っています。生活が困っているので」
女性(20代):
「経済雇用対策が、一番今回は関心があるんじゃないかなって思います。経済を上向きにしていただくことが、一番じゃないかなって思います」
女性(40代):
「物価とか上がっているのに、お給料はあまり変わりがなくて、将来不安だなと」
今回の愛知県知事選挙の争点の1つが、「経済・雇用」対策だ。
【動画で見る】2/5投開票…愛知県知事選挙 争点の1つ「経済・雇用対策」についての各候補の政策は
ニュースONEが2023年1月、有権者100人に実施したアンケートでも、コロナ対策や子育て政策に並んで関心が集まっている。
男性(30代):
「物の値段が上がっているので、少しでも給料が上がったらいいなっていうのが…」
男性(20代):
「就活とかでどうしても雇用が減っちゃっている気がするので、例えば県とかが主導してイベントとかを増やしてほしいなって」
帝国データバンクの調査によると、2022年12月の県内の景気動向を示す指標は、全国平均を下回り47都道府県中27位。(※コロナ前の2018年12月は4位)
別の調査でも、製造業を中心に実に7割近くの企業が、新型コロナのマイナスの影響が続いていると回答している。
愛知県の景気は、良いとは言えないのが実情だ。
■12月の電気代は1年前より約9万円上昇…求められるコロナダメージからの回復や物価高への対策
名古屋市中川区の「飯田鉄工所」。
従業員3人の零細企業で、自動車部品関連の金属加工を行っている町工場だ。
飯田鉄工所の飯田英貴社長:
「暖房と機械の電気代が結構かかっちゃっています」
Q.機械の稼働台数は?
飯田社長:
「一応2台で、こちらは動いたり動かなかったりしているので…。随時動いているだけでも、結構(電気代が)かかってしまう」
社長の飯田英貴さんは、新型コロナで半減した売上が戻らない中で、このところの光熱費の大幅な値上がりが経営を圧迫しているという。
飯田社長:
「電気料金をまとめてみたんです。直近でいうと12月ですね。前年度対比が60%アップくらい。急激すぎて負担が大きくて厳しい状態ですね」
2021年12月の電気代は約13万円だったが、2022年12月は21万8300円と9万円近く上昇。ガスや原材料の値上がりも含めると、従業員1人分の給料に相当する利益が削られているという。
飯田社長:
「会社のダメージが大きいので、ダメージがなくなってからというか、景気が回復してからの賃上げであれば考えられるかもしれないんですけど、景気が回復していない状態での賃上げ論争はなかなか厳しい」
コロナ禍で行政から受けた支援は、国の雇用調整助成金のみだ。飯田社長は新しい知事に、「今」を乗り越える具体的な支援策を望んでいる。
飯田社長:
「いま(欲しい)支援というと、光熱費の補填かなと思います。製造業でも上からではなく、下の方を底上げしてもらえると、逆に景気が上向くんじゃないかと思うんですけど。こちらに目が向いていないと思っちゃいますよね。愛知県独自のなにか支援みたいなものがあると、嬉しいかなと思います」
町工場に限らず、多くの業種の企業がコロナ禍で被ったダメージからの回復や、足元の物価高への対策を求めている。
■全6人の候補者に聞いた…掲げる「経済・雇用」政策は
経済・雇用について、6人の候補者に掲げる政策を聞いた。
安江朗(やすえ・あきら 55)さんは「地産地消」。
安江朗さん:
「農業、水産業、林業にいたるまで、愛知県産を県内の方が消費するということを、まず一つスタートにしたい」
安江さんは、農業、水産業、林業など幅広い分野で地産地消の取り組みを進めることで、県内の経済を活性化したいと主張している。
末永啓(すえなが・けい 37)さんは「賃金・所得倍増」「県民税減税(5~10%)」「内燃エンジン推進」。
末永啓さん:
「コロナに入ってから、毎年数千億円規模の無駄な効果のなかったコロナ対策費に使われていたので、そういったものをどんどん積極財政に組み替えていきたい。実質的に給料、所得、賃金を上げていくことが必要」
末永さんは、コロナ対策に充てる費用を削って減税を行い、経済を活性化させて、所得倍増につなげたいとしている。
山下俊輔(やました・しゅんすけ 60)さんは、「愛知の産業を更に発展」「経済安全保障の観点から情報データの流出を防ぐ」。
山下俊輔さん:
「(愛知の産業は)すごいポテンシャルがある。それをさらに発展させるのは、産官学で共同で発展させる。さすれば、雇用はおのずと上がる」
山下さんは、産官学の連携を深めることで新たな技術を生み出し、雇用創出などにつなげたい考えだ。
上原俊介(うえはら・しゅんすけ 46)さんは「インフラ整備」「防衛産業の支援」「自動車税の減税」。
上原俊介さん:
「自動車税の減税は景気対策で行う。それによって県民の手もとにお金が残る。税金そのものを減らした方が、県民が有意義に使っていただける」
上原さんは、自動車にかかる税の10%減税で消費拡大を図るほか、積極的なインフラ整備による景気回復を訴える。
尾形慶子(おがた・けいこ65)さんは、「脱炭素産業ナンバーワン」「光熱費ゼロ住宅」。
尾形慶子さん:
「太陽光パネルや、断熱性を高める技術とか。これで愛知県を活性化して、仕事がたくさんできると思いますので、雇用も増やして、賃金も増やして、そして経済活性化につなげていける」
尾形さんは、電気自動車や高断熱住宅など、脱炭素に関連した産業を後押しすることで経済を活性化させると主張している。
大村秀章(おおむら・ひであき 62)さんは「モノづくり×R&D×スタートアップ支援」。
大村秀章さん:
「自動車産業をはじめとしたものづくり産業を、しっかりと元気にしていく。そのためには、研究開発の拠点をさらに強化充実させていく。最先端の技術なりビジネスモデルを持った、スタートアップ企業をどんどん興していく」
大村さんは、スタートアップ企業の支援を進め、愛知の産業力強化や新たな雇用の創出につなげたいとしている。
関西学院大学教授の村尾信尚(むらお・のぶたか)さんは「自治体が行う経済・雇用政策」について、「世の中が大きく変わる中、産業構造も変わっていかなくてはいけない。失業された人がいる一方で、人を求めるスタートアップ、ベンチャー企業といった企業もあり、その橋渡し役を地方自治体がやることもひとつのアイディアだ。労働力を古いところに留めておかないで、新しい分野に円滑に移動させる、それに地方自治体が関与していくというのは、一つの大きな政策となる」と話している。
アフターコロナの景気回復や賃上げに向けて、次の重要な4年間の舵取りを担う新知事は誰になるのか。愛知県知事選挙は2月5日が投開票日だ。
【愛知県知事選挙の立候補者(届け出順)】
・安江朗 氏(やすえ・あきら 55)無所属・新人
・末永啓 氏(すえなが・けい 37)無所属・新人
・山下俊輔 氏(やました・しゅんすけ 60)諸派・新人
・上原俊介 氏(うえはら・しゅんすけ 46)無所属・新人
・尾形慶子 氏(おがた・けいこ 65)無所属・新人 推薦=共産
・大村秀章 氏(おおむら・ひであき 62)無所属・現職 推薦=自民県連、立憲民主、公明、国民民主
2023年1月30日放送