NSC同期には売れっ子も…一度は諦めた夢『お笑い芸人』へ 33歳美容師の“挫折からの再チャレンジ”
かつて憧れだった芸人を目指しながらも、夢破れて故郷の三重に戻り、美容師になった男性がいる。それから13年経った2022年、男性は「YouTuber芸人」として再チャレンジしている。
■33歳の男性美容師は「YouTuber芸人」
三重県津市の美容室で客の髪をカットする、田川大地(たがわ・だいち 33)さん。
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女性客:
「普段は大人しい子やのに」
田川大地さん:
「やめてくださいよ、めっちゃ撮っとるんですから、今」
客からは大人しい印象を持たれている田川さんだが、違う一面を持っている。
田川さん(YouTubeの動画):
「おっつ、おっつ、おっつ、おっつ、何か当たってる感はありますね」
YouTubeを中心に活動する芸人だ。
■“同期”はバンビーノや尼神インター…「お笑い芸人」目指し入った養成所で味わった挫折
子供の頃から「お笑い芸人」にあこがれていた田川さん。
地元の高校を卒業後、選んだのが「お笑いの道」だ。
田川さん:
「NSC(吉本興業の養成所)に入学しまして、そこでタレントじゃないけど、お笑いの勉強を少しさせてもらいましたね」
Q.同期の有名人は?
田川さん:
「バンビーノ、尼神インターという女の子二人のコンビですね。『その返し絶対思いつかんやろ』ってのを返してくるんで、脳の作り的に全然違うなって実感しましたね」
才能あるライバルの実力に圧倒されて過ごした、吉本興業の養成所での1年間。
田川さん:
「最後は吉本新喜劇のオーデション受けて見事に落ちたわけですけど、それで大阪から帰ることになりましたね。もともとは芸人をやりたいわけじゃなかったんやと思って、無理やり自分を押さえつける感じで諦めました」
自分の気持ちに蓋をするように夢を諦め、地元・津市に帰ってからは、父親が紹介してくれた現在の美容室に就職した。
美容師になって13年。
結婚して、2人の子宝にも恵まれ順風満帆に見えた田川さんだったが、心の内には…。
田川さん:
「タレントになりたいというのは捨てきれんくて、心のどこかにずっと眠っていましたね。自分にとっても楽しいことして稼げる仕事がしたいな、とずっと思っていましたね」
内に秘めた思いを抱え続けていた。
■美容院の客との出会いで再び始めた「お笑い」の道
田川さんに転機が訪れたのは、2022年9月。美容室の客でWEBクリエイターの横山俊治(よこやま・としはる 50)さんとの出会いだった。
田川さん:
「僕もずっとやりたいなと思ってたけど、一人ではようせんなってのがあって、もやもやしてたところに横山さんから声かけてもらって」
横山俊治さん:
「ある時、元芸人やったって話を聞かされて、『えっ!ヘアスタイリストちゃうやん』みたいな。ポテンシャルはものすごくあると思います。常識という物を嫌うんですよ」
田川さんは、横山さんからの思いがけない誘いを受け、一度は諦めた夢をYouTuberとして再び追いかける決断をした。
カラオケルームで、幅広い世代に受ける企画を練っていた。
田川さん:
「僕、日本だけで考えてしまうんですよね、YouTubeって。世界ですよね」
横山さん:
「世界ですよ、僕は世界中を引きずり回そうかと思っていますから」
横山さん:
「タレント志望ですやん、だからグルメリポーターとか」
田川さん:
「やったことないですね」
横山さん:
「できといた方がいいかなと思って」
やってみたかったグルメリポーターに初挑戦することになった。
田川さん:
「(Q.うまくいきますかね?)いくと思いますよ、いかんと思っていたらやりませんしね。僕も一回お笑いの世界入って…。やればできるんだと見せつけてやろうと思っています」
芸名はガイアに決めた。
由来は田川さんの名前・「大地」だ。
■芸人として持っているのかいないのか…初めての食レポに挑戦で
ロケ当日。協力してくれたのは、名古屋市中区の「焼肉スギモト HOUSeN(ほうせん)」を訪れた。
田川さん:
「おはようございます。よろしくお願いします。くすぶり芸人のYouTuberでガイアと申します」
横山さん:
「スカイツリーにも入ってるし、海外にもありますからかなり大手だと思いますよ」
田川さん:
「めっちゃヤバいところじゃないですか。そんなとこだったんですね。今まで食べに行っても美味いとしか言った事ないので、不安でしかないです」
高級な焼肉店だと知り、急に不安になった田川さんだが、ロケはスタート。
店のスタッフ:
「高級な焼肉中心にお店をやっておりますので、見て行ってください」
田川さん:
「焼肉店の雰囲気じゃないですね」
店のスタッフ:
「では、ガイア様に当店の人気ナンバー1の『壺付けランチ』を食べて頂こうと思っておりますのでよろしくお願いします」
田川さん:
「じゃあちょっと頂きますね、レモンが入っているんですね。うま、なんすかねこれ、肉やのに肉じゃないみたいな味」
拙いリポートだが、精一杯、味を伝えた。
田川さん:
「ここのお肉は元気の源です。ありがとうございます。(ビデオを撮っている横山さんに)…いいですか?」
ロケは続く。
店のスタッフ:
「和牛の焼肉の盛り合わせをお持ちします。部位を当てて頂きたいなと思っております」
3種類の肉の部位を、見た目だけで当てるというクイズに挑戦。
横山さん:
「正解したら食べて頂いていいんですけど、失敗したら罰ゲーム」
田川さん:
「失敗しなければいい?当てればいい?」
横山さん:
「当てたら焼いて食べていただきます」
芸人としては、ある意味罰ゲームも“おいしい”シチュエーションだ。じっくり見て答えを出す。
田川さん:
「カルビ、ロース、イチボ…どうですか? 」
別の店のスタッフ:
「当たっちゃってますよ(笑)」
横山さん:
「正解ですよ」
田川さん:
「やった、やっちゃった…」
持っているのか、持っていないのか…クイズに正解。
しかし結局…。
係員:
「倒れます」
田川さん:
「おぉすごい、これはヤバい、高い、めっちゃヤバい、嘘でしょ?」
田川さんも罰ゲームに参加。
係員:
「3、2、1」
田川さん:
「ワー」
■「いいんじゃないですか、人生一回なんで」作品を真っ先に見せたかった相手は美容師の道を勧めた父
撮影した動画は田川さんが自分で編集する。
田川さん:
「パソコンが無いのでスマホで頑張っています。人から見た自分って見られないじゃないですか、こんな動きしとるんだとか、こんなしゃべり方なんやとか、声とか…。見とって面白いですね」
田川さんには、完成した動画を真っ先に見せたい相手がいた。
田川さん:
「親に初めて、自分が頑張っているところを見せたいなと思って」
芸人としての才能が田川さんには無いと感じ、美容師の道を勧めた父親の善巳(よしみ)さんだ。
父の善巳さん:
「YouTubeをやっとるんやっていうのも、2、3日前ですかね、聞かされたの。また変なことやりだしたなって感じですね」
田川さん:
「出来ました、こんな感じです。見える?」
自分なりに精一杯頑張って作った、渾身の動画を見せた。
善巳さん:
「体張っとるな」
母:
「自然と止まるの?」
田川さん:
「こんな感じでした」
善巳さん:
「ふーん、楽しんどるね」
田川さん:
「こんな感じのことをしてますわ」
善巳さん:
「いいんじゃないですか。楽しそうで。人生一回なんで」
善巳さんは動画を気に入ってくれた。
田川さん:
「自分が何か頑張っている事とか、絶対見せなかったんですよ。今初めて見せたから、不思議な感覚」
善巳さん:
「いくつになっても、人生楽しんでやっているなと言う感じですね、楽しそうで何よりです」
スタッフ:
「チャンネル登録はしますか?」
善巳さん:
「まあ、します、します」
一度は芸能界への夢を諦めていた田川さん、今は…。
田川さん:
「僕みたいにタレントになりたい人たちの活動できる、身近な存在という感じはしますね。自分が面白いなと思ってても、それを実行できなかったので、今まで。そういうのをYouTubeでやっていって、すぐにではないけど結果は出てくると思うので、諦めずに頑張っていこうかなと思っています」
2022年11月3日放送