わずか15分間に歓喜と落胆…『H3』打ち上げ失敗 部品供給した会社の社長「最後の最後まで何があるか…」
「今度こそは」と期待された国産の新型主力ロケット『H3』の打ち上げが失敗し、ロケットの部品を供給する愛知県の会社からは落胆の声が上がりました。
鹿児島県の種子島宇宙センターにそびえ立つ、「H3」ロケット初号機。わずか15分の間に、歓喜と落胆を味わいました。
(リポート)
「間もなくH3ロケットの打ち上げ時刻です。こちらの部屋にはイセ工業の社員の皆さんが、その瞬間を今か今かと待っています」
打ち上げの瞬間を待つ、愛知県安城市の「イセ工業」の社員たち。H3の開発に携わってきました。
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三菱重工の飛島工場で組み立てられたH3ロケットには、東海地方のモノづくりの力も結集しています。
イセ工業の秋庭社長:
「こちらがロケットで使われているパイプです。薄いのでその分軽量になりますけども、加工としては非常に困難」
イセ工業が手掛けたのは、燃料を送るための配管です。機械と職人の技を融合し、50本以上の試作を重ねてきました。
イセ工業の秋庭社長:
「前回よりさらにドキドキしていますね。今日こそ宇宙へ飛び立てと思っています」
2月17日の打ち上げは、電気系統のトラブルで発射直前に中止。
イセ工業だけでなく、ロケットに関わった全ての人にとって、7日は待望の1日となるはずでした。
午前10時37分、白煙と轟音を残し、空に向かって一直線に飛び立つH3ロケット。
イセ工業の秋庭社長:
「ほっとしましたね。こうやって宇宙に飛んでいくんだって、初めて見て感動した。心配した分だけ、喜びも2倍3倍になったなと思います」
安堵と共に噛みしめる喜び。しかし…。
<JAXAの画面>
「ロケットはミッションを成功する見込みがないとの判断から、指令破壊信号を送信しました」
JAXAによると、発射後、2段目エンジンへの点火が確認されませんでした。搭載した衛星を予定の軌道に投入するミッションの達成は困難と判断され、午前10時52分ごろ、ロケットは破壊されました。
イセ工業の秋庭社長:
「いやーこれショックだな。あんなに喜んだのにな」
わずか15分で味わった歓喜と落胆。
イセ工業の秋庭社長:
「やっぱり最後の最後まで何があるか分からないなということが、ひとつ勉強になりました。ロケットは後退することはないので、上に打ち上がるしかないわけですから、次もう1回打ち上げにチャレンジしていただくということだけですね」
“失敗は成功の母”とは、発明王・エジソンの言葉。大きくつまずいた日本の宇宙戦略が「成功」となる日は、いつになるのでしょうか。