ルーツは実は三重にアリ…『天むす』が名古屋名物として広がった意外なワケ 津と名古屋2つの「千寿」
名古屋めしといわれる「天むす」の発祥は、実は三重県津市の店です。名古屋めしといわれるようになった経緯を取材しました。
三重県津市の「めいふつ天むすの千寿(せんじゅ)」。
3代目店主の福田さんに話を聞きました。
福田さん:
「昭和30年代の初めに、初代の水谷ヨネがまかない料理から考えたものです。天ぷら定食を出していたお店で、忙しいお昼の昼食の時間に、夫のために少しでも栄養のあるものをと思いまして」
店で忙しい夫のために、妻の水谷ヨネさんがまかないとして作ったのが「天むす」だといいます。
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この店では、注文が入ってからエビ天を揚げ、ごはんの中へ。できたてを提供するのがこだわりです。天むす5個にみそ汁が付いて900円、天むすの元祖です。
奈良から通う常連客:
「絶妙な大きさと塩加減と、すごく美味しいです。きゃらぶきと一緒に食べたら最高に美味しいですね」
40年来の常連客:
「一番美味しいですよね、どこで買うよりも。揚げたてをサッと握っていただいて。ペロっといくつでもいけちゃうのが怖いですけど。(Q名古屋名物として広がっていますが?)ちょっとねぇ、ちょっとアレはわかんないですね。(発祥は)ここなのになって教えてあげたいですね」
お客さんは複雑な気持ちですが、千寿の福田さんは…。
福田さん:
「嫌な気持ちはないですね。名古屋名物と言われてもう長くなりまして、名古屋の千寿さんがすごく頑張って、地元に愛される味を作られたからだと思いますけど」
実は、名古屋にも「千寿」があります。中区大須に店を構える「めいふつ 天むす 千寿」です。
店長の小山さん:
「知人の方から津の天むすをいただいて、そのお味に感激されて、津の創業者の水谷ヨネさんをお訪ねになって、教えを乞うたということです」
創業者・藤森晶子さんが津市の千寿の天むすに惚れ込み、のれん分けをさせてもらったといいます。
その後、ある変化が起きました。
小山さん:
「名古屋ということでいろんなお客さまがいらっしゃるので。毎週、大阪だと笑福亭鶴瓶さんがレギュラー番組をもっていらっしゃったようで、それから東京だと春風亭小朝さんとか、そういう芸人の方々にたまたまお買い求めいただいて」
店には笑福亭鶴瓶さんのサインがあります。名古屋でレギュラー番組を持っていた時に、よく来店したそうです。
また、春風亭小朝さんも名古屋に番組を持ち、大量に購入しては明石家さんまさんやビートたけしさんなどにも差し入れしていたといいます。
そうして芸能人の間で天むすが評判になり、大須の千寿への取材が増え、いつしか「名古屋名物」として広がったということです。
天むすが名古屋めしといわれていることについて、小山さんは…。
小山さん:
「私どもがそう名付けたわけではないですので。いずれにしても津が本店ですので、名古屋へいらしたら私どもの所へ来ていただいて、三重県の方へ行かれたら津のお店へ行っていただければ一番うれしいですね」
天むすのルーツは三重県津市、流行のきっかけが名古屋ということがわかりました。
三重県津市の「めいふつ 天むすの千寿」は、毎週日曜日と第3月曜日が定休日で、営業は午前9時半から午後5時半までですが、注文は午後5時までです。
2023年3月3日放送