JR東海の丹羽俊介新社長が6日、4月の就任後初めての会見に臨みました。注目のリニア中央新幹線について「できるだけ早期に開業させたい」と意気込みを語りました。

 6日、就任後初めてとなる会見に臨んだJR東海の丹羽新社長。

丹羽社長:
「現状に甘んじることなく、進化・変革に挑戦する企業文化を築いていきたいと考えています」

 JR東海の新たなトップとして注目されるのは、東京ー名古屋間を40分でつなぐビッグプロジェクト、リニア中央新幹線への取り組みですが、問題は山積みです。

 ルートの一部、静岡工区では、トンネル工事によって県内を流れる大井川の水が減ることを懸念する静岡県との間で隔たりがあり、いまだ着工に至っていません。

 金子慎前社長も、静岡県の川勝知事の下を訪れるなど交渉を続けましたが、予定している2027年開業は極めて難しい状況です。

【動画で見る】JR東海・丹羽新社長「リニアはできるだけ早期に開業」予定の2027年は困難な情勢に“岐阜県駅”地元の思いは

金子前社長(2023年1月):
「静岡工区に着手できず、そのため名古屋までの開業時期も見通しを立てることができない状態は残念でございます」

 1月の社長交代会見の場で、金子前社長の思いを隣で聞いていた丹羽新社長。6日の会見でも「具体的な開業時期のメドは示せない」としながらも、早期開業への意気込みを語りました。

丹羽新社長:
「リニア中央新幹線計画、これは言うまでもなく我が社にとって、我が国にとってと申し上げたいと思いますが、重要なプロジェクトであると思っています。できるだけ早期に、できるだけ早く開業させたい」

 東海3県でも、リニア事業の前進を待ち望む現場があります。

 岐阜県中津川市の「岐阜県駅」予定地。2022年6月に着工し、6日も雨の中、工事が進められていました。

 2024年度末には土木工事を完了する予定ですが、駅周辺の街づくりなどの具体的な計画はこれから。先行きが不透明なビッグプロジェクトに、地元の人の胸中は複雑です。

中津川市民:
「東京まで行きたいで早くつくって。私たちの生きているうちに。死んじゃったら乗れんで」

別の中津川市民:
「早くやらないかん。(開業遅れは)1年は許せるわ、仕方ないで。2030年なんてことはみんなに気の毒。この辺を立ち退いた人が気の毒よ」

 中津川市のリニア担当課は、岐阜県駅のすぐ近くに事務所を構えています。

中津川市リニア都市政策部の担当部長:
「現時点でJR東海さんも明確に何年遅れるということは言われておりませんので、現時点で私どもとしては2027年を目指して市の事業を進めている」

 目標の2027年が不透明な中、トップ交代という新たな潮目。新社長に望むことを聞きました。

中津川市リニア都市政策部の担当部長:
「社長さんが代わってもJR東海さんとしての方向が変わることはないと思います。リニアの着実な事業推進をお願いしたい」

 夢の超特急・リニアの未来はどうなるのか。新社長の手腕に注目が集まります。