今回、藤井聡太六冠に菅井竜也八段が挑んでいる将棋の叡王戦には、「見届け人」という独自の制度があります。かつて250万円をかけ、貴重な見届け人の体験をした将棋ファンに話を聞きました。

 23日、地元・愛知で叡王戦第2局に臨んだ藤井聡太六冠。挑戦者・菅井竜也八段との対決で、藤井六冠が先に1勝を挙げています。

 先手は菅井八段。早い段階から飛車を横に動かす「振り飛車」が得意戦法で、今回の戦型も第1局と同じ三間飛車。

 両者とも玉を隅に移動させて守りを堅くする「穴熊囲い」となり、今までの藤井六冠のタイトル戦とはひと味違う将棋に。結果、115手で菅井八段が勝利しました。

【動画で見る】将棋ファンとしては高くない250万円…叡王戦独自の制度“見届け人”とは 経験者「藤井さんと目の前で…」

菅井八段:
「今日の将棋は中盤が難しい将棋だったんですけど」

藤井六冠:
「菅井八段にうまく受け止められてしまって、完敗だったのかなと思います」

 次回は5月6日、再び名古屋で対決。舞台は東区の老舗料亭「か茂免」です。

 2021年、藤井六冠が叡王を奪取した対局場となった料亭ですが、この場でスペシャルな体験をした将棋ファンがいました。名古屋在住の主婦「将棋マダム」さんで、叡王戦独自の制度「見届け人」をしました。

 2年前に250万円の見届け人に応募し、およそ30倍の中から抽選で選ばれました。

将棋マダムさん:
「どうせ当たらないなと思っていたのでびっくりしちゃって、オレオレ詐欺かと思ってびっくりしちゃいました。『将棋連盟の…』と言われて『うそでしょ!?』みたいな。10回くらい言いました」

Q.お金はどのように工面した?

将棋マダムさん:
「コロナで旅行とかに全然行けなくて、日本半周のクルーズ旅行に行きたいねと言っていたお金があったので」

 対局前日は将棋連盟が手配したホテルに宿泊し、藤井六冠と同じ勝負めしを食べ…。

 さらに立合いの棋士から直接解説を受け、タイトル戦の雰囲気にどっぷり浸かれたといいます。

将棋マダムさん:
「1日いろんな先生に解説をしていただいてすごく勉強になった。将棋って楽しいんだなってすごく伝わってきて。みんな一生懸命説明したり、ここが楽しいんだよと教えてくださったので、将棋ってすごく面白いんだなと感じました」

 新品で80万円するという対局で使われた駒を、藤井六冠から直接受け取りました。

将棋マダムさん:
「目の前でお話しできたことと、ツーショットで写真を撮っていただいたことが思い出。(藤井さんは)すごく好青年というか、良いところのお坊ちゃんという感じです」

 2024年も機会があれば応募したいという将棋マダムさん。「見届け人」をする人にアドバイスがあるといいます。

将棋マダムさん:
「自分のやりたいこととか希望があることは全部連盟の人に言うと、OKな部分は大丈夫ですよと言ってくださるので。アテンドの説明してくださる棋士の先生が来られるんですけど、希望を出してスケジュールが空いている先生はどなたでも呼んでくださるので、希望を出したらいいんじゃないかなと思います」

 ファンにとっては決して高くない250万円の見届け人。第3局の応募締切は24日までです。