目的は一体何なのか…外国人観光客が急増中の岐阜・中津川市『馬籠宿』海外に刺さった“2つのグルメ”
岐阜県中津川市の観光地「馬籠宿(まごめじゅく)」に、外国人観光客が急増しています。外国人観光客の“馬籠の歩き方”を取材しました。
5月上旬、中津川市の馬籠地区は多くの人で賑わい、海外からの観光客の姿もありました。
イギリスから来た男女:
「イギリスから来ました。とても素晴らしいし美しい。混んでるけどね」
オーストラリアから来た男女:
「オーストラリアのシドニーから来ました。初めて来たよ。私たちは妻籠(つまご)で泊まるから、今から歩いて妻籠まで行くよ」
外国人観光客の目的を取材しました。
散策のお供「食べ歩きグルメ」では、スコットランドから来た2人が、アツアツの「おやき」を持っていました。
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スコットランドから来た男女:
「いただきます。美味しい!」
他には、ソフトクリームに和牛の串焼きもありますが、特に人気は、この地方の郷土料理として親しまれている「五平餅」です。
香ばしいエゴマ入りのしょうゆをたっぷりつけて、その場で焼き上げます。気軽に手にしやすい串に小ぶりの団子の形が、食べやすく人気だといいます。
フランスから来た男性:
「とてもおいしい」
フランスから来た女性:
「初めて食べました。しょうゆの味付けがとてもおいしいです」
馬籠館の担当者:
「頑張って日本語で『五平餅下さい』と注文してくれる」
その味を気に入って、お土産に買っていく人も多いといいます。
馬籠館の担当者:
「(観光客が)急にドンと来て、われわれもびっくりはしているんですけど。みんなで昔の文化を楽しんでいただければなと思います」
「馬籠宿」は、中山道43番目の宿場町です。
山の尾根に沿った急斜面を通り、坂が多いのが特徴です。
馬籠で生まれた偉人が、文豪・島崎藤村です。
長い坂道の途中には記念館もあり、訪れる外国人の姿もありました。日本文化に触れたいと、特に欧米からの人が多いといいます。
島崎藤村が昭和初期に発表した代表作で、馬籠を舞台に書いた小説「夜明け前」は「木曽路はすべて山の中である」という有名な書き出しで始まります。
藤村記念館の担当者:
「直筆原稿なんかを見ていただいて、感動されているようです。ぜひとも世界へ、帰ってからPRしていただければありがたいなと思っています」
もう一つ、外国人観光客には「和食」が人気です。ミシュランガイドに掲載されたことがある「日本料理 萩乃屋」で話を聞きました。
日本料理 萩乃屋の安藤雅嗣料理長:
「海外の方が大変よくみえます。毎日来ていますね」
この日はフランスから来た夫婦が来店。連日予約が入っているといいます。
安藤料理長によると、外国人客は刺身や煮物など、たいていの料理は好んで食べますが、1つだけなかなか箸をつけない料理があるそうです。
それが店の看板料理「なめこ雑炊」。かつおと昆布の風味豊かな出汁から作った餡をアツアツの白米にかけて、なめこをたっぷりかけた雑炊です。
安藤料理長:
「海外勢にあまりウケなかったというか。餡かけという文化がないので。一口くらいは食べましたね」
コース料理のシメとして出したものの、餡のトロトロ感となめこ特有のぬめりが、外国人客に全くウケませんでした。
そこで用意したのは、日本でもおなじみの「天丼」です。
安藤料理長:
「天ぷらを知っていても、天丼は知らない方も結構いて。でも味付けが向こうの人の好みなんですよ。テリヤキがウケたじゃないですか。テリヤキがいま世界で市民権を得ていて、それと似たような感じの味付けなので」
テリヤキが海外で人気であることをヒントに、甘辛い味のご飯ものをと天丼を出したところ大ウケしたといいます。今では外国人の増加をふまえ、ビーガン向けやグルテンフリーの天丼も用意しているということです。
安藤料理長は「せっかく遠い所から来たんだし、イレギュラーに対応できるようにしたい」と話しています。
2023年5月5日放送