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三重県津市に99歳の男性が営んでいるコーヒー豆の挽売り店があります。豆は唯一無二の“深入りコーヒー豆”2種類のみ。お客さんも「抜群においしい」「他のコーヒーは飲んでいない」という人気のお店です。
■99歳のコーヒー豆店の店主 毎日店頭に立ち半世紀以上
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JR津駅の東側、歩いて約5分のところにある「高野コーヒー豆挽売店」。
【動画で見る】毎日店頭で豆を挽く…コーヒー店の店主は御年99歳 娘と二人三脚で「100歳で元気やったら売っとるかも」
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店内はシックな雰囲気で、香ばしい香りが広がります。コーヒー豆の挽売り専門店です。
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店主は高野博さん、99歳です。
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娘の美佐子さんを相棒に、毎日店に立ちコーヒー豆を挽いています。
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高野さん:
「もう50年以上、やっとるの」
娘の美佐子さん:
「このコーヒーを使い始めてからは、57年です」
半世紀以上扱っているというコーヒー豆ですが、扱っているのは深煎りの「くろいりコーヒー」と、さらに深く煎った「くろいりフレンチ」の2種類だけです。
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高野さん:
「(くろいりコーヒーより)もうちょっと苦いのが好きって年寄りの人は言うもんで、こっち(くろいりフレンチ)はもうちょっと煎ってある」
「くろいり」と呼ぶオリジナルの豆の特徴は、真っ黒な見た目です。
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一般的な中煎り(ちゅういり)ローストと比べると、深煎り具合がよくわかります。
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関西の焙煎士に特別に依頼し、中までじっくりローストした豆です。(100グラム700円)
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高野さん:
「これでね、10杯分が取れるんですよ」
高野さん自身も、娘の美佐子さんと2人で毎日10杯も飲んでいるといいます。
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「くろいり」で淹れたコーヒーは、ほとんど酸味がなく、香ばしさが立っているのが特徴。豆の味をそのまま楽しむことができる、ブラックがオススメです。
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高野さん:
「うん、うまいうまい。熱いね。砂糖も何も入れないで飲んでもらうのが(1番いい)」
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高野さんのコーヒー豆を求めて、多くの地元の人もやってきます。
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男性客:
「酸っぱいのがどうも苦手で、これは本当に酸味がないんで、ちょうどいいというか」
女性客:
「長く置いていても、ずっとスッキリした味がそのまま変わらず。もうここ以外のコーヒーは飲んでないです」
別の男性客:
「コーヒーは詳しくないからわからない。ただ、抜群においしい」
■「くろいり」のルーツは小学生の頃に飲んだコーヒー
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深煎りの黒い豆が生まれたのは、高野さんの小学生の頃の体験がきっかけでした。
高野さん:
「小学校の頃からコーヒーは飲んどった。外交官の叔父さんがおってね、どっかから取り寄せて飲んでいた。それを私がちょこちょこ飲ましてもらって、好きになった。それがこの黒いコーヒーや。1番よく焼いた(焙煎した)」
小学生の頃、外交官をしていた叔父さんから飲ませてもらった深煎りコーヒーが「くろいり」の原点だといいます。
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飲食店の経営を経て、昭和41年(1966年)に喫茶店をオープン。店を始めるにあたり、かつて飲んだ深い味わいのコーヒーを再現したいと、その味に近い焙煎をしてくれる店を探し出しました。
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高野さん:
「コーヒーを焼く(焙煎する)のを始める人がおったんで、私のこの焼きを(思う煎り方で)焼いてくれって言ったら『難しい、よう焼かん』と言っとった。だけど無理矢理に焼いてもらって、それから60何年ずっと。もう向こうは3代目。私は1代」
60年の付き合いという焙煎士から送られてくる「くろいり」。
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店ではさらに、美佐子さんがそこからひと手間加えています。
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美佐子さん:
「ハンドピックを。焼き切れない豆を取ります。焼き切れてない豆は酸味が出るので。これをやると、やっぱり雑味がなくなるんで、毎回やってます。ちょっとそれがこだわりというか」
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こうして作り上げた、オリジナルブレンドの「くろいり」コーヒーは、喫茶店で人気のメニューとなり、多くのファンを獲得 。昭和59年(1984年)に、お客さんの要望に応える形でコーヒー豆の販売店をオープンさせました。
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それが今につながっています。
■仕事が“生きがい”…日課の「ポールウォーキング」で健康維持
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高野さんは、火曜から土曜まで店を開ける日は毎日店頭に立ちます。注文に応じて計量し豆を挽き、袋詰めまで。作業をしながら、お客さんとのトークもこなします。
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高野さん:
「300(グラム)を挽いて?粗めに挽くん?」
女性客:
「ちょっとだけ粗めにお願いします」
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男性客:
「お父ちゃん、足どう?足」
高野さん:
「治った」
男性客:
「治った?治らへんやろ」
高野さん:
「痛みはもう全然ない。よかった」
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美佐子さん:
「やっぱり、生きがいのようなんですよね。だから、仕事がなくなったらガクッとくるかなあと思うと、サポートしてあげなきゃダメかなって思います」
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仕事が「生きがい」。1日でも長く続けるために、健康維持は欠かせません。高野さんはスティックを手に散歩する、「ポールウォーキング」を日課にしています。
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この日も、店の周りを20分ほどかけて歩きました。
■「100歳になって元気なら」今日も店頭に立つ99歳
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高野さんは、次の世代へと引き継ぐ準備も進めています。
美佐子さん:
「次は息子夫婦が、いまちょっと他県に住んでいるんですけど、継ぎたいって言ってくれているので」
3代目の候補は、孫の諒介さんと妻の恵子さんです。
孫の高野諒介さん:
「自分が守っていける立場にいるんだったら、自分にできる事はそれなのかなと思いまして、決断しました」
諒介さんの妻・恵子さん:
「常連さんが長く通ってくださっていて『やってみない?』みたいな感じでお話しして、そういう流れになっていったので、うれしいですね」
今日も店頭に立つ、99歳の現役店主・高野博さん。今後は…。
高野さん:
「娘がついてくれるから、動ける間はこうやって売ってやろうかなと。100歳になって元気やったら、売っとるかも」
2023年4月20日放送