密放流とみられ漁協は「環境テロだ」と憤り…アユ等の生態系脅かす特定外来生物『コクチバス』駆除作戦に密着
岐阜県は、長良川などの清流が多くアユが名産ですが、そのアユを脅かすある特定外来生物が発見されて大きな問題となっています。駆除作戦に密着しました。
数々の美しい清流が流れる岐阜県。27日午前10時半ごろ、その清流・長良川につながる郡上市白鳥町のため池を訪れると多くの人が集まり、ある生き物の捕獲作戦を進めていました。
しばらく様子を見ていると、ため池に大きな魚の影が現れました。その正体は、北米が原産の特定外来生物「コクチバス」。このため池だけでなく、岐阜県内では2023年5月、美濃市の長良川で初めて生息が確認され、地元の漁業関係者に衝撃が走りました。
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地元漁協の白瀧組合長:
「本流へ出て、アユを捕食するまで育つのが一番怖いんです。生態系を害する」
コクチバスは肉食。岐阜の名産・アユを捕食して、その生態系を脅かす恐れがあります。
事態を重くみた地元の漁協などが27日、一斉駆除作戦に乗り出しました。
まず大きなバスを竿で釣り上げて10匹以上を捕獲し、さらに釣りでは捕獲が難しい稚魚をタモを使って囲い込みます。最後は電気ショッカーを使い、稚魚を捕獲。
この駆除作戦で、76匹のコクチバスを捕獲しました。
そして、駆除作戦とともに県が行った調査で、深刻な事態も発覚しました。
岐阜県水産振興室の桑田室長:
「1匹のコクチバスが川でも採捕されました」
ため池の下流にある長良川につながる川でもコクチバスの稚魚が見つかり、ため池の外に生息域が拡大していることがわかりました。
なぜ、岐阜県のため池でコクチバスが増えているのでしょうか。
地元漁協の白瀧組合長:
「恐らく自分で秘密の釣り場を持って、ここで楽しみたいという思いで、誰かが密放流したんだろうと思うんです。キツい言い方かもしれませんけど、『環境テロ』以外の何物でもない、許すまじき行為である。事の重大さを認識していただきたい」
清流のアユを脅かす外来種の繁殖。岐阜県はコクチバスの完全駆除を検討しています。