専門店など続々登場…今や“ハンバーグ激戦区”の名古屋 出店者が「他地域よりハンバーグ愛感じる」その土壌
愛知県名古屋市では、ハンバーグの専門店が相次いでオープンしています。繁華街は激戦区の様相ですが、調べてみると東海地方には深い「ハンバーグ愛」があることがわかりました。
■栄はいま“ハンバーグ激戦区” 卓上の鉄板で焼き加減を調整できるスタイルがトレンド
名古屋市中区栄「マルエイガレリア」の3階にあるレストラン街に、2022年5月にオープンした『タイチ食堂』は、フロアで断トツの人気のお店です。
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つなぎを一切使用していない和牛100%ハンバーグ専門店。「釜ハン タイチ定食」は1980円。
レアの状態で提供され、卓上の鉄板で好きな焼き加減に調整できるのがウリで、人気は続いています。
タイチ食堂店長の山本綾太さん:
「開店11時から満席になりますね。特に週末は、行列ができるほど賑わっています。4月26日に、徳重のヒルズウォーク店にタイチ食堂の2号店をグランドオープンしました」
開業1年目で早くも2号店をオープンしています。
山本さん:
「最近やっぱりブームもあるので、名古屋でも。近くにジョンスミスさんとか、トリコさんとか…」
名古屋の栄地区はいま“ハンバーグ激戦区”になっているといいます。タイチ食堂からすぐのところにある、2022年にオープンした「ジョンスミス」は、外観からして目立っています。
週末は、長い行列ができる超がつくほどの人気店です。
国産牛のロース、モモ、バラの3種類をミンチにし、レアで提供。
「ジョンスミス ハンバーグセット」(※ランチ限定 1500円)
カウンターを囲む鉄板などで、好みの加減に焼き上げるというスタイルです。
自分で焼く「エンタメ系ハンバーグ」がいまのトレンドだといいます。
■最大4時間待ちという超人気ハンバーグ店 名古屋人には「濃い味が受け入れられやすい」
「挽き肉のトリコ」も栄エリアで人気のハンバーグ専門店です。
全国からハンバーグ通が集まり、週末は最大4時間待ちのこともあるといいます。オープン半年で、東京・渋谷に2号店をオープンしましたが大行列で、超人気店です。
トリコの名物メニューは、厳選した牛肉100パーセントのハンバーグ。1つ250グラム・厚み5センチと、げんこつサイズでボリューム満点です。
「究極のハンバーグ定食」(1650円)は、肉汁の量が自慢です。
ハンバーグに箸をいれると、肉汁があふれ出します。
お皿には肉を囲むように「薬味」が並び、生おろしワサビやブラックオニオンソース、青唐辛子味噌などで“味変”して楽しめる工夫がしてあります。また、多くのお客さんが同じようにするという食べ方もあるといいます。
「挽き肉のトリコ」の担当者:
「よく皆さんがやられるような形で言うと、ご飯のお茶碗の上にハンバーグを乗せて、卵黄だけみなさん器用に取ってその上に上手に乗せるっていうのを、皆さんよくやられます」
岡崎産のブランド鶏「岡崎おうはん」をのせて崩す、贅沢な食べ方です。
肉汁がジュワッと奥から溢れ、口の中でホロッと崩れたあとまろやかな卵が広がります。肉にも味がしっかりとついていて、その全てを白米が受け止めてくれます。
木俣さん:
「そのまま楽しんで頂けるように、下味は少し強めにしています」
名古屋の人の「ハンバーグ愛」について木俣さんは「濃い味、しっかりとしたハッキリとした味っていうものが昔から馴染みがあるので受け入れられやすい」と話しています。またここ数年で、栄エリアだけでもハンバーグ店が増えているため、非常に人気のある業態といいます。
ステーキに比べてしっかりとした味が特徴ともいえるハンバーグは、濃い味を好む名古屋の人の舌に合いやすいため、この店では独特のトッピングもあります。デミグラスソースも実は、隠し味で八丁味噌が少し入っています。
なじみのある「味噌」と相性がいいというのもポイントだといいます。
■東京が本社のハンバーグチェーン「コロナ禍でも東海地方は順調」 コスパが名古屋人にマッチと分析
人気のハンバーグ店は、名古屋の郊外にもあります。全国に12店舗を展開するハンバーグとステーキの専門店「肉のはせ川」です。
この店のメニューのひとつ「はせ川トリプルバーグ」(1408円)は「コスパが良い」と評判になっています。
熱々の鉄板に、1個150グラムのハンバーグが3つも乗っています。
レア状態で提供され、鉄板で好みの焼き加減に仕上げる人気のスタイルです。
本社は東京という全国チェーンですが、名古屋は“独特”だといいます。
肉のはせ川フランチャイズオーナー:
「ハンバーグ愛は、他の地域の方より感じますね。ボリューム感があって、コスパがよくて、お腹いっぱい食べられる、うちのコンセプトと合致した」
ステーキに比べてボリュームがあって、コスパが良いというのが“お値打ち”好きな名古屋の人にマッチしたと考えています。
肉のはせ川は、コロナの影響で関東と関西では数店舗の閉鎖を余儀なくされたそうですが、東海地区では逆に4店舗が新たにオープンし、さらなる出店計画も進んでいるといいます。
しっかりとした味とお値打ち感、その2つが名古屋でハンバーグが愛されるポイントといえそうです。
名古屋めし専門の料理研究家Swindさんは「古くからのチェーン店もありますし、喫茶店のメニューに鉄板イタリアンとか焼きそばとか色々ありますので。鉄板メニューのひとつで、鉄板ハンバーグも非常によく出されているんじゃないかなと思います」と人気の理由を説明しています。
鉄板メニューに慣れ親しんだ名古屋。
確かに、名古屋の喫茶店では鉄板に乗ったハンバーグ定食をよく見かけます。
Swindさん:
「名古屋の人が間違いなく普段からハンバーグに普段から親しんでいて、日常よく食べている。私の中では、ハンバーグ王国と言ってもいいんじゃないかなって」
■老舗肉店「松阪牛、飛騨牛、三河牛、知多牛…」 「鮮度がいい脂がいつでも手に入る」
名古屋のハンバーグでSwindさんが薦めるのは「肉のスギモト」が直営するレストランです。「スギモト」は、中区栄が本店で、明治33年(1900年)創業の老舗精肉店です。
本店の2階にある直営レストランでは、特製デミグラスソースがたっぷりとかかった、オリジナルのハンバーグを食べることができます。
厳選した国産牛と国産豚を独自の配合で合挽きした、スギモト自慢のハンバーグ定食は、サイコロステーキも付いています。
「ハンバーグ&サイコロステーキ」(※ランチ限定 2000円)
名古屋の“元祖”ともいえる肉の老舗に、名古屋の人のハンバーグ愛について聞きました。
肉のスギモト広報の佐々木誠志さん:
「三重県には松阪牛、岐阜県には飛騨牛。お隣に日本を代表する銘柄牛がいて、愛知県にも三河牛であったり、知多牛という有名な牛がいるんですね。そういったことから、シェフがいい素材を手に入れやすいっていうところで、しのぎを削ってハンバーグ作りに専念している。特に、ずっと長いこと肉屋やらせていただいていて1番思うことは、ハンバーグに欠かせないのが脂なんですね。やはり、鮮度がいい脂がいつでも手に入る。それを混ぜることによって、うま味が増す。そこがハンバーグをよりおいしくしている」
鮮度や質のいい牛肉に加え、ハンバーグに欠かせない良質な脂も手に入りやすいという環境が、おいしいハンバーグに繋がっているという意見で、説得力があります。
この地域ではは「コスパのいいものが好き」「いい肉が集まりやすい」「濃い味文化」「喫茶店文化の鉄板」が揃って、ハンバーグが強いのではないかということです。
2023年5月4日放送