100年以上続く窯元の跡継ぎを…県の『後継者インターンシップ』で公募に80人 嬉しい誤算と決断の重み
後継者不在に悩む、愛知県瀬戸市の100年以上続く窯元が、県の支援事業「後継者インターンシップ」で跡継ぎ候補を募集しました。熱意ある候補ばかりで、今度は嬉しい悩みに変わりました。
真っ白な素地に呉須(ごす)という材料を使って模様を描く、瀬戸染付焼(そめつけやき)。
加藤真雪さん:
「今やっているのは、一輪の花がパッとお皿に咲いているようなデザインなんですけど、焼きあがって青く発色したときに、このグラデーションが美しく見えるのが染付の醍醐味かなと思うので」
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愛知県瀬戸市で100年以上続く窯元「眞窯(しんがま)」の四代目、加藤真雪さん(41)は27歳で会社を辞め、29歳の時に父・眞也さんに弟子入りしました。曾祖父、祖父と代々引き継がれてきた窯を守ってきました。
加藤真雪さん:
「新しく一緒に働いてくださる方を探したいなと思っていたので」
真雪さんは独身で子供もなく、伝統を引き継ぐ後継者がいないのが悩みの種でした。
そこで、愛知県が始めた「後継者インターンシップ」に応募し、公募で集まった80人の中から窯の後継者候補を選ぶことにしました。
この日は書類選考などを通過した6人が、現地での面接会に参加。
京都府からの参加者:
「骨をうずめる覚悟で、長いこと関わっていきたいなと思っています」
石川県からの参加者:
「大学3年生になって就職の時期なので、将来を考えるにあたって応募しました」
応募者は芸術を専攻する大学3年生が中心で、瀬戸にゆかりのない人ばかりです。
加藤真雪さん:
「こちらの不安というよりも、来てくださる方が不安にならないようにと思っていて、家族を中心にやっているので、そこにすんなり入ってこれるかどうかとか」
真雪さんも参加者も少し緊張した様子で、インターンと選考に臨みます。
期間は2日間。実際に器を制作しながら、参加者の技術や人柄を見ていきます。
石川県からの参加者:
「見よう見まねですけれど、面白いなと思います」
ゆかりのない瀬戸市に移り住むことについて参加者は…。
沖縄県からの参加者:
「最初は『やばい、これ田舎だ』と、住みにくいんじゃないかとは思ったんですけど。自分の足で歩いたことによって、人柄とか土地の感じとかがすごく見えてきて」
全員と一対一の面接をして、プログラムは全て終了しました。
加藤真雪さん:
「ここから1人選ぶというのが嬉しい迷いなんですけれど、プレッシャーに感じるというか迷っています」
熱意ある参加者が集まった嬉しい誤算と、家業を誰に引き継ぐのかという決断の重みから、この場での選考は見送りに。時間をかけて考え直すといいますが、気持ちは前向きです。
加藤真雪さん:
「職人の後継者になりたいと思ってくださっている方がいるということが本当に嬉しいことだったので、新しく職人になってくれる方にも繋いでいけたらいいなと思っています」