高さ日本一を誇る…215mから真っ逆さまの『岐阜バンジー』スリルと興奮求め全国から“たくさんの勇気”
岐阜県八百津町に、高さが日本一のバンジージャンプがある。スリルと興奮を求めて全国から客がやってくるが、決して安くはない料金だ。時にしり込みし、時に自分を奮い立たせながらも飛び降りる人たちには、十人十色の飛ぶ理由があった。
■高さ日本一に「バンジー趣味」の女性もさすがに「チキる」
岐阜県八百津町の新旅足橋(しんたびそこばし)。
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橋の中央から渓谷へ飛び降りる、バンジージャンプが「岐阜バンジー」だ。
岐阜バンジーの高さは、日本一高い215メートルだ。名古屋のシンボルのひとつ、「中部電力 MIRAI TOWER」より35メートルも高い。
料金は1回目で28000円と決して安くはないが、全国から客がやってくる。
午前9時。名古屋からやって来たのは、自動車メーカーの同じ部署で働いているという村川大樹さん(31・製造業)と邑田(むらた)彩羽さん(23・製造業)さんだ。
村川さん:
「彼女が、バンジージャンプが趣味って言っていて」
邑田さん:
「好きで、すごい。けっこう病みつきになっちゃって。アドレナリンが出る感じが」
年齢を超えた「バンジーフレンド」の2人。茨城県の竜神大橋でバンジージャンプを5月に飛んできたというが、竜神大橋は100メートルで岐阜バンジーはその倍以上だ。
邑田さん:
「(渓谷を見下ろし)ちょっと今チキっちゃってます(チキンになる=怖気づいている)。ちょっとこれ…」
村川さん:
「いや絶対やったほうがいいと思います!」
邑田さんは腰が少し引けてしまっている様子だった。まずは男性の村川さんが飛ぶことにした。
岐阜バンジーのスタッフ:
「立ってください。赤い線につま先立出してください」
村川さん:
「うわ、怖い!」
“バンジー好き”でも足がすくむ、この高さ。
岐阜バンジーのスタッフ:
「山見て、深呼吸して、両手広げて…。オッケー、いきましょう!5、4、3、2、1、バンジー!」
村川さん:
「ジャスティ〜ス!」
村川さんはあっという間に消えていった。
後輩の邑田さんは、足から行くスタイルだ。
飛んだ後、宙づりになるのもバンジーのスリルだ。
邑田さん:
「飛んだ後、最高です。今生きているって感じします。また来たい。なんならもう一回飛びたいです、今日」
村川さん:
「やり直したい!おかわりジャンプ!」
■高所恐怖症の克服を…バイクで東京から訪れた男性も
やってくるのはバンジー大好きという人だけではない。極度の「高所恐怖症」を克服しようと訪れた男性がいた。東京都からやってきた今日屋(きょうや)俊明さん(45・会社員)だ。
今日屋俊明さん:
「実は高所恐怖症なので、これで克服できればいいかなと。どうせやるなら、一生に一度だから日本一がいいなと思って」
バンジージャンプで克服する「荒療治」のため、わざわざ東京からバイクでやってきた。
前の人が飛ぶのを見送り、順番が近付くにつれ、口数も激減。
いざ、ジャンプ台へ入ってみると…。
今日屋さん:
「やるんじゃなかった…」
土壇場になって後悔が込み上げてきたようだが…。
岐阜バンジーのスタッフ:
「深呼吸いいですか?」
今日屋さん:
「はい」
岐阜バンジーのスタッフ:
「オッケーいきましょう!5、4、3、2、1、バンジー!」
今日屋さん:
「発射!うわー!うわー!うわ!高い!」
最後は躊躇せず、勢いよく飛び降りた。
ジャンプ後は橋の上までまた引き揚げられるが、高所恐怖症にとってはこれも恐怖だ。
今日屋さん:
「早く上げて〜!」
無事生還した今日屋さんだったが、冷や汗でビッショリになっていた。
今日屋さん:
「これは死ぬかと思いました。やってやった感はありますよ、一生に一度。もうやらないですね。ちょっと高いところマシになったかな?いや、あんまり変わっていない…」
結局、高所恐怖症克服とはならなかったが、これを機に色んなことに挑戦していくと話していた。
■「飛ぶ理由」ナンバーワンは?バンジーで記念を残したい人たち
見物だけの人も含め、岐阜バンジーには土日は全国から客がやってくる。
午後0時30分。「G7広島サミット」が開かれていたこの日、規制のかかる広島を「脱出」してきた6組の男女のほか、浜松や岡山、新潟ナンバーの車もあった。
「飛ぶ理由」で一番多かったのが「バースデーバンジー」だ。
男性:
「最近、誕生日やって、そのサプライズとして(彼女が)連れて来てくれた」
別の男性:
「彼の22歳の誕生日で、思い出に残る日本一高いバンジーかなと思って」
この日が50歳の誕生日という男性も、お祝いでやってきた。
男性:
「気持ちいいね!まだまだ頑張って生きていかなきゃって感じです」
男性の仲間:
「50歳おめでとう〜!」
男性:
「ありがとうございます」
■“今年の挑戦”にバンジーを選んだ64歳男性「やめたい…」
雨の中、3人組がやって来た。京都在住の芳田さん夫婦と、その友人の大西さんだ。
この日の主役は、64歳の芳田和干さん(飲食店経営)だ。身体が元気なうちにと、毎年何かにチャレンジしているという。
去年2022年はスカイダイビングに挑戦し、2023年のチャレンジには日本一のバンジージャンプを選んだ。
芳田和干さん:
「年齢制限ないんですけど、自分が踏み出す勇気があるのかどうかを試したい」
芳田さんの妻・さなみさん:
「パンツ、お着替えで持っていった方がいいって言われたんですけど…」
“自分の勇気を試したい”とやってきたが、やはり自分の順番が近づいてくると…。
芳田さん:
「怖いな〜!」
さなみさん:
「頑張ってね」
芳田さん:
「怖いわ!」
Q.心の準備はできましたか?
芳田さん:
「やめたい!」
さなみさん:
「大丈夫かな?本当に…」
岐阜バンジーのスタッフ:
「深呼吸いいですか?」
芳田さん:
「はい…」
岐阜バンジーのスタッフ:
「オッケーいきましょう!5、4、3、2、1、バンジー!」
見事、ナイスバンジーを決めた。
芳田さんの友人・大西雄一郎さん(57・会社員):
「飛ばんかったら面白かったのに(笑)。でも尊敬するわ。僕より歳上でコレやれるって」
芳田さん:
「ありがとうございます。まだ足震えています。いい経験ができましたね。本当に飛んでよかった。無理って言ったら笑われそうで。女の子いっぱいいるのにね」
目標があると、活力が湧いてくるという芳田さん。来年は「フィリピンでワニの口に頭を突っ込んで写真を撮る」のが目標と話していた。
■美しいジャンプを求めて2度目の来場客も…飛ぶ理由は十人十色
大阪から来たという女子大学生の2人組がいた。
大西杏奈さん(20・大学生):
「長年の共通の夢で、中学校以来」
バンジーを成功させ、SNSで自慢するまでが共通の夢だ。
2回目のジャンプに来たという人もいる。
大西晃世さん(35・豊橋市・製造業):
「飛び方が無様だったから、1回目。もうちょっとうまく飛びたい。前に飛び込みたいんですよ」
失敗を糧に、2回目はムササビのように美しく飛びたい…。
大西さん:
「ギリ前に飛べた!よかった!2回目も楽しかったです。多分、毎年1回は来ると思います」
高さ日本一を誇る岐阜県のバンジージャンプ。スリルと興奮を求める、たくさんの「勇気」が集まっていた。
2023年5月29日放送