トヨタ系部品メーカー「中央発條」の工場の爆発事故から3日が経ちますが、トヨタ自動車の一部の工場で生産ラインの稼働停止が続いています。影響は別の部品メーカーや、ディーラーにも及んでいます。
愛知県豊田市の「中央発條」の藤岡工場で16日に起きた爆発事故では、従業員2人がケガをしました。爆発事故から3日が経ち、工場の建屋には足場がつくられ、多くの人が出入りする様子も見られましたが、復旧にはまだ時間がかかるとみられます。
藤岡工場で作っていたのは、自動車のサスペンションに使う「コイルスプリング」というバネです。中央発條は、中国の工場で代わりの生産を始めるなど対応を急いでいます。
【動画で見る】納車にも「影響は時間差で…」部品メーカーの爆発事故でトヨタの工場停止が長期化する恐れ バネの供給止まる
愛知県豊田市にあるトヨタ自動車の「高岡工場」では、19日も稼働が停止していて、人や車の出入りも少なく閑散としていました。
バネの供給ストップを受けて、トヨタは今週一杯、多くの工場での稼働停止を決定していて、さらに長期化する恐れもあります。
従業員：
「（火曜水曜は）休み・休み、今日出てきて、明日の金曜日も休むという感じです」
別の従業員：
「やることがないので、早く動いてほしいです」
プリウスを手掛ける豊田市の「堤工場」が、部品の確保に目途が立ち生産を再開したものの、東海3県6つの工場の10のラインがストップしています。
20日は、岩手県・宮城県の工場でも部品の在庫が切れるとして、8工場の13のラインの停止を決めています。
影響はさらに広がっていて、車の防音材などをつくっている愛知県稲沢市の「イイダ産業」にも及んでいました。
イイダ産業・生産管理部の担当者：
「こちらが生産がストップして出荷できない荷物になります。17日に製造していますから、本来ですと18日に出荷されるんですけど、ここに置いております」
イイダ産業では、今回事故があった中央発條の部品を使っているからではなく、トヨタの生産ラインが止まったために部品が出荷できなくなり、工場の中にも山積みになっています。
イイダ産業・生産管理部の担当者：
「当初（午後）5時で終わる予定のラインが、お昼でストップしているラインもあります。早く復旧してほしいというのが本心ですね」
必要以上に部品の在庫を持たない「トヨタ生産方式」。これまでも、一つの取引先のトラブルの影響が拡大していました。
2016年には、愛知製鋼とアイシン子会社でそれぞれ爆発事故が起きて、車の生産がストップしました。
2022年には、部品メーカー「小島プレス工業」がサイバー攻撃を受けて、トヨタの国内全ての工場が丸1日稼働を停止しました。
トヨタは、中央発條に社員など約30人を送り込んで部品の供給再開を急いでいて、来週の工場の稼働については20日午後、判断するとしています。
車の納車にも影響は避けられません。自動車ディーラーに話を聞いたところ、「半導体不足で新車の納期が長くなっていたのが改善されてきた矢先で心配だ。1週間くらいで再開されるといいが、影響は時間差で出てくると思う」とのことでした。