名古屋城木造復元のバリアフリーをめぐる市民討論会で、障害者への差別発言があったことを受け、名古屋市が対策に乗り出します。

 2023年6月、名古屋城天守閣の木造復元をめぐるバリアフリーについての市民討論会。

エレベーター設置に反対の市民:
「エレベーターも電気もない時代に作られたものを再構築するという話なんです。どこまで図々しいのって話で、我慢せえよって話なんですよ。お前が我慢せえよ」

 エレベーターの設置を求める障害者の男性の発言に対して、反対する市民から差別発言がありました。

河村名古屋市長:
「言われているような差別的発言があったとすれば、(制止)すべきだったと言えるだろうと。申し訳ありませんでしたと」

【動画で見る】差別発言を受け対策…公共施設建設に障害者等の意見反映させる第三者機関 名古屋市が24年10月設置目指す

 市が開いた会議で障害者への差別発言が出たことを受け、名古屋市は公共施設の建設に障害者などの意見を反映させるための第三者機関を設置する方針を固めました。

 障害者の意見を反映させる取り組みは、以前、中部国際空港でもありました。

 第1ターミナルにある段差のないエスカレーターです。2005年に建設された第1ターミナルは、全ての人が使いやすくなるユニバーサルデザインが建設のコンセプトに掲げられていて、設計の段階から障害者団体との研究会を設置されました。

 簡易ベッドを設置した多目的トイレや、車いすでも向きを変えずに乗り降りできる設計のエレベーターなど、当事者目線の意見を反映させた作りになっています。

 今回、名古屋市に新設される第三者機関は、障害者などを中心に10以上の団体から構成され、公共施設などの建設や改修をする際に、設計段階からバリアフリー化へのアドバイスなどを行います。

 この動きに、障害者の団体側は…。

障害者団体の佐々木さん:
「計画段階から障害者当事者の声を交えて話し合いをさせてくださいというのはずっと言ってきたので。今までは、話し合いの中にはもちろん入るんですけど、もうある程度計画が固まっちゃってからなので、反映されないことが多かったんですよ。ずっと前から僕らが言ってきたことが実現する運びになるなら、お互いにとって、誰もが使いやすい建物ができるんじゃないかなと思う」

 ただこの第三者機関は、これから計画が持ち上がる公共事業が対象で、名古屋城天守閣の木造復元は対象外です。

障害者団体の佐々木さん:
「一抹の不安としてまだある。差別発言があった時に、名古屋市の職員も河村市長も現場にいたにもかかわらず、それを止めていない。名古屋市の人権意識がどこまで改善されたのだろうと、半信半疑な状態」

 市は第三者機関の24年10月の設置を目指していて、関連する予算5300万円を24年度の予算案に盛り込む方針です。