不信任決議案は否決…数々のハラスメントが判明した東郷町長 失職は回避「折を見て謝罪して参りたい」
職員に対してハラスメント行為を繰り返していた、愛知県東郷町の井俣憲治(いまた・けんじ)町長に対する不信任決議案は、27日の臨時の町議会で否決されました。再発を防止することはできるのでしょうか。
<井俣町長による発言の音声データ>
「そんな奴おれへんて、お前ぐらいだって、そんなアホ」
「バカじゃねえか、本当にバカじゃねえ」
職員が実施したアンケートで判明した、愛知県東郷町・井俣憲治町長のハラスメント行為。「死ね」「アホちゃうか」といった発言に加え、女性職員に対するセクハラとみられる言動も明らかになりました。
大きな手術を控えていた職員に対しては…。
井俣町長:
「お前の家、何宗?葬式やるっていったら何宗?」
職員:
「死ぬこと前提じゃないですか」
井俣町長:
「お前死んだら香典いくらぐらい?」
数々のパワハラ発言が発覚した井俣町長が、そのまま町長を続けるべきか、それとも失職させるべきか。27日、東郷町の臨時町議会が開かれました。
朝から傍聴席を求めて多くの町民らが訪れた町議会。傍聴席32席に対し61人が集まり、抽選となりました。
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東郷町民:
「全国的に有名になってしまって、わが東郷町が悪いことで有名になってしまうのは非常に残念なことで。(議会の)進み具合を見ていきたいと考えております」
臨時町議会の冒頭、井俣町長は改めて謝罪しました。
井俣町長:
「町民の皆さまをはじめ、議員の皆さま、なにより町職員の皆さま、東郷町に関係する全ての方に対し、この場を借りまして改めて謝罪をさせていただきます」
不信任決議案を提出した議員は、提案理由を説明しました。
山下茂議員:
「実際に町職員からの訴え、加えて町長自らがこのハラスメントに対して被害者に向けて既に謝罪を表明しております。明らかに町長としての信なしと。それがわれわれの仕事ですよ」
これに対して、いわゆる「町長派」と呼ばれる議員からの反対討論もありました。
加藤伸尚議員:
「この不信任決議の審議には反対します。今じゃない、まずはじめにこれだけは訴えなければならない。今の段階で被害者がいるのかすらも分からない」
議員全員がそれぞれ賛否の意見を述べ合い、議会は白熱し、午後1時半ごろついに採決が行われました。
賛成10、反対6と賛成が反対を上回ったものの、可決に必要な出席議員の4分の3、12人の賛成を得られず、不信任決議案は「否決」されました。井俣町長の失職は避けられました。
否決を受けて井俣町長は…。
井俣町長:
「これからも折を見て、謝罪してまいりたいと考えております」
不信任案に反対した町議は…。
國府田さとみ議員:
「非常に重たい決議ですので、根拠というものは絶対的で圧倒的なものでなければならない。全員の声をわれわれが1人1人聞き取ることができたのか、やっぱりできていないと思います」
こうした結果に、傍聴した町民は…。
東郷町民:
「否決されたんですけど、やはり(パワハラなどが)事実だったら責任をとる必要があると思いますね」
別の東郷町民:
「一言で言うと残念な結果でしたね。(町民として)むちゃくちゃ恥ずかしいし、残念です」
また別の東郷町民:
「ほっとしました。やっぱりちゃんと検証してほしい」
井俣町長は、年内をめどに全職員を対象としたアンケートを実施し、第三者委員会の検証を行う方針を示しています。
今後も町長の職を続けることになりましたが、自ら膿を出し再発防止を行うことはできるのでしょうか。