政治資金パーティーをめぐる問題で、東京地検特捜部の捜査が始まっています。岐阜県選出の大野泰正参議院議員にも疑惑が持たれていますが、なぜ多額の「裏金づくり」が必要だったのでしょうか。パーティー券を購入した支援者らに話を聞きました。

 岐阜県選出の大野泰正参議院議員は、約5000万円を超える不記載の疑いが浮上しています。

 大野議員は11日、記者の質問に対して「精査します」と繰り返し、多くは語りませんでした。

Q.パーティー券のノルマはどのくらいあった?
大野泰正議員:
「それも、あの本当に…精査させていただいている途中でありますので」

Q.一連の問題とどう向き合う?
大野泰正議員:
「まずはしっかりと、慎重に精査して。全部、精査しているということであります」

 大野議員から毎年、安倍派のパーティー券を購入していたという支援者の男性から話を聞くことができました。

安倍派のパーティー券を購入した支援者:
「清和政策研究会(安倍派)との懇親の集いですね。かなりの人数の参加者の方がお越しいただいておりまして、ホテルに入る前から大渋滞。私も清和政策研究会、それから大野先生の趣旨等をご理解させていただきながら、(パーティー券を)毎年購入させていただいていたというところでございます」

【動画で見る】不記載5千万円超か…大野泰正議員はなぜ“裏金作り”が必要だったのか パーティー券購入者「他議員と違って…」

 大野議員は、父も母も祖父も国会議員という、政治家一族に生まれました。

 祖父の大野伴睦(ばんぼく)氏は1955年、自民党発足の「保守合同」の立役者で、初代副総裁に就任。

 1964年には、当初計画がなかった東海道新幹線「岐阜羽島駅」開業に尽力。当時は「田んぼの中の政治駅」と揶揄されました。

 大野伴睦氏の言葉には、「猿は木から落ちても猿。代議士は選挙に落ちればただの人」というものがあります。

 過去2回、参議院選挙で当選を重ねてきた大野議員が、なぜ多額の「裏金づくり」が必要だったのでしょうか。

安倍派のパーティー券を購入した支援者:
「岐阜で大野先生は他の岐阜県選出の国会議員と違って、大きな大々的なパーティーというのをやられていないんですよね。その分、清和政策研究会のパーティー券を買ってもらいたいという意向だったと思います、確か」

 自身のパーティーは開かず、派閥のパーティー券を積極的に販売していたといいます。

安倍派のパーティー券を購入した支援者:
「あくまでもこれは推測で分からないんですけども、キックバックがあるからこそ、清和政策研究会のパーティー券を買ってもらいたかったということなのかなと思います」

 5000万円にのぼるとされる裏金の使い道について、大野議員の秘書は…。

Q.裏金は何に使った?
秘書の高橋秀明さん:
「うちらみたいな貧乏事務所がね、裏金作って何の意味があるかという気がしますよ。だって車も新車が買えないんですから。ましてや僕らは給料が一番安いですけど、それも払うのが大変ということはよく事務員から聞いていますので。なぜ(政治資金収支報告書に)載せていないのかというと、たぶん派閥からの指示だと思うんですけどね」

 18日、大野議員の事務所は人影がなく、いたのは2匹の猫だけでした。

 支援者、事務所関係者も実態が分からない裏金問題。東京地検特捜部は今後、押収した資料を分析するなどし、実態解明を進める方針です。