名古屋市中区で2月3日、男性がキックボードにはねられ、重傷を負いました。電動キックボードに乗っていた男は走り去りましたが、周囲の防犯カメラや居合わせたタクシーのドライブレコーダーに、衝突の瞬間が映っていました。

 歩道を歩く、黒い服を着た男性。道路を横切ろうとした次の瞬間、後ろから走ってきた電動キックボードにはねられ、男性は道路に倒れ込んでしまいました。

 3日、名古屋市中区栄で起きた事件を捉えた防犯カメラの映像の様子です。別の防犯カメラ映像でも、はねられた男性は前方に飛ばされ、衝撃の大きさを物語っています。

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 その後、キックボードに乗っていた男が男性に近寄りますが、倒れた男性がよろめきながら起き上がると、男は再び電動キックボードに乗って走り去って行きました。

 事件が起きたのは3日午後5時過ぎ、名古屋市中区栄4丁目の路上で、道路を横切ろうとした男性(47)が一方通行を逆走してきた電動キックボードと衝突して転倒し、鎖骨などを折る大ケガをしました。

 その直後、現場に居合わせたタクシーのドライブレコーダーの映像では…。

タクシー運転手:
「あっ!大丈夫ですか?」

 タクシーの運転手がはねられた男性に駆け寄り、容体を確認。そして車に戻ると、救急車を呼び警察に通報。はねられた男性は市内の病院に救急搬送されました。

 通報した運転手によると、逃げたのは若い男だったといいます。

タクシー運転手:
「(ドアを)開けた瞬間、そのまま北の方へ逃げていった。(はねた男に)『大丈夫ですか?』と話をしたんですけど、相手の反応はなかったです」

 はねられたのは飲食店を経営する47歳の男性で4日夜、当時の状況を語りました。

はねられた男性:
「渡り始めた瞬間に『あっ!』って声がして、そのままぶつかって吹っ飛ばされた。呼吸が苦しかった。息をするのが空気が入ってこない感じ、息を頑張って吸っても」

 X線写真を見せてもらうと、右の鎖骨が折れているのが分かります。さらに、ろっ骨も折るなど重傷を負いました。

 電動キックボードでの事故の衝撃について、専門家に話を聞きました。

交通事故鑑定人の中島博史さん:
「衝突前の様子から衝突のところまで、ほとんど一定の速度で走っています。20キロぴったりぐらいで走っているようです。自動車ですと、体全体の幅以上に車があるので、その分の衝撃が分散される可能性があるんですけれども、電動キックボードの場合には衝突する部分が非常に狭い。鉄パイプや金属バットで殴られたような衝撃になります」

 一歩間違えば命にも関わる電動キックボードの事故ですが、他人事ではありません。

街の男性:
「本当に結構なスピードで横切っていくのは見たりするので、そういうのは気になったりするかな」

街の女性:
「人の合間をスッて行くじゃないですか。もうハラハラしてた、ぶつからなきゃいいなと。若い人はパッと避けられるかもしれないけど、ご年配の人は無理ですもん」

 そして、はねられた男性は…。

はねられた男性:
「私にもちょっと非があるかなとは思っているんで、道路にスッと出てしまったのは私なので。ただ、電動キックボードは一方通行を逆走しているんですよね。反省して出てきてほしいですね」