毛染めや化粧OKで風紀は乱れたのか…校則を試験的に廃止した県立高校 影響を検証した生徒たちに“考える力”
岐阜市の岐山高校は2023年、髪の毛の色や化粧についての校則を試験的に廃止しました。勉強への影響や風紀が乱れるのでは…と懸念する声もあがっていましたが、その結果はどうだったのでしょうか。
岐阜市にある県立岐山高校で14日の放課後、生徒たちが集まり『学校の校則』について話し合っていました。
男子生徒A:
「3カ月の結果、(風紀は)乱れてなかったって結論付いたやん」
男子生徒B:
「いやでも結論付いてはないけど。少数意見もある」
2023年6月、岐山高校は「髪の色や化粧に関する校則」を一時的に廃止する試みを始めました。当時学校にはエクステを付けた生徒や、メイクをして登校する生徒の姿がありました。
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女子生徒A(2023年6月):
「(自由な髪形を)したいです」
女子生徒B(2023年6月):
「清楚は嫌です。もっと自分らしく」
世間でいわゆる『ブラック校則』を無くす動きが広がるなかで、より自由な『校則廃止』への挑戦です。
石神政幸校長(2023年6月):
「自由というのは責任も伴うんだということだよね。『岐山高校生は頭髪OKだよ』とした時点で、勉強はおろそかになるのか」
自由な校則で風紀が乱れるのではないか…。当時、そんな懸念がありました。
そして2024年1月、生徒を対象にしたアンケートを実施。14日は、その結果をもとに、生徒たちが校則のあり方を話し合っていました。
女子生徒:
「そんなに学習時間変わってないし、この先(校則を)変えても、(風紀が)乱れることはないかなと」
男子生徒:
「『風紀が乱れる』ってどういう定義なの?学力がダメなのか?」
アンケート結果では、髪の色を変えたりメイクをしたりした生徒は全体の4分の1程いましたが、「学校の風紀が乱れた」と回答したのは約1割でした。
6割程が、頭髪や化粧についての校則を「撤廃していいと思う」と回答し、多くが校則廃止を支持しました。
女子生徒:
「メイクはしました。生活するのが100倍楽しいです。(この学校に)入ってよかったです、本当に」
男子生徒:
「(髪型を変えたり)できるというだけで自由な感じで、学校もちょっと楽しくなるかなと思う」
学習時間にも大きな違いは出ませんでしたが、数字だけでは見えない課題を指摘する生徒もいました。
男子生徒A:
「髪染めたりエクステしたり化粧したりで、他の学校や近隣の人から見たら“乱れている”と思われても仕方ない部分はあるかなと思います」
男子生徒B:
「校則を廃止した時に学校外のイメージが下がってしまうと、これから入ってくる新入生とか長期的に見た時に学力が下がったりする可能性はある」
男子生徒C:
「学校の中でも、頭髪を染めたり化粧をしている人に対する偏見とか差別的な感情が少なからずあって。まず先に偏見・差別を完全になくしてからじゃないと、廃止して自由化するのは危険なんじゃないかなと思いました」
校則廃止で生まれた様々な意見や、それぞれの価値観。廃止を提案した教師たちにとって、これこそが最も大切な教育でした。
溝下肇教頭:
「頭髪や化粧の規定そのものについて是非を考えているのではなく、(校則が)なくなったところで自分が一体どういう風にしていくべきなのか、そういうことを自分で考える。一歩学校から外に出たら、どこにでも闇バイトであるとか危険性もたくさんあります。そういう時に『こういう決まりがあるから』ではなくて、自分で考えて対応していく、そういう力をつけて生徒を卒業させてやりたい」