輪島の大規模火災の原因とも…地震による『電気火災』を防ぐ“感震ブレーカー” 名古屋の住宅密集地でも対策
能登半島地震では、石川県輪島市で大規模な火災が起き、古い木造の建物が密集した輪島朝市周辺の約240棟が焼けました。
この火災について、消防庁が会見で指摘したのは…。
消防研究センターの細川直史統括研究官:
「火元と思われる建物の発掘調査を行いまして、屋内配線等に溶けた痕跡が認められる」
出火原因については現在調査中とした上で、火元とみられる住宅では石油ストーブなど火気を扱う器具を使用していなかったものの、テレビやエアコンといった電気製品は使っていたといいます。
このため消防庁は、屋内の電気配線が地震で傷つき、配線にショートや接触不良が生じて出火した「電気火災」の可能性があると指摘しました。
消防研究センターの細川直史統括研究官:
「今回の出火の原因は電気火災と考えられるということで、感震ブレーカーの設置も含めて、いろんな機関で対応が進められている」
電気火災は、阪神大震災や東日本大震災でも出火原因が分かった火災の6~7割を占め、消防庁は南海トラフ巨大地震が起きた時でも多数の犠牲者が出ると懸念しています。
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NITE=製品評価技術基盤機構が、地震で転倒したロッカーが電源コードを破損し、発火に至った想定での再現映像を公開しています。断線した部分が異常発熱してショートし、火花が上がりました。
さらに電源コードが破損した状態で電気製品のスイッチ入れると、断線した部分がショートし火花が出ました。
地震などでコードや機器が破損し、電気が復旧した時に起きる通電火災も、このような状況で起きるとみられています。
この電気火災を未然に防ぐため、街ぐるみで対策に取り組んでいる地域が名古屋市にあります。
瑞穂区御剱地区は道路が狭く、市の「主な木造住宅密集地域」となっています。
(リポート)
「瑞穂区の御剱(みつるぎ)地区です。車が通れないほどの狭い道幅となっていまして、年数の経った木造住宅が続いています」
御剱地区では、震災で最大およそ3200棟にまで燃え広がる危険性があると想定されています。
名古屋市御剱消防団の新美利夫団長:
「この辺りは見た通り狭い道が多いですね。類焼して火災が広がる危険性もありますので、決して他人事ではないと思っております」
地元の消防団の新美利夫団長と、ある建物内に入ってみました。
名古屋市御剱消防団の新美利夫団長:
「一番簡単な感震ブレーカーで、地震で揺れて重りが外れるとスイッチが落ちるという。ホームセンターで販売されていますので、簡単に手に入りますのでね、自分でも付けられると思います」
感震ブレーカーは、揺れを感知して電気を自動で遮断し、地震の際の電気火災の発生を防止します。この重り玉式の場合、揺れで重りが落ちると同時にブレーカーも落ちて通電がストップします。
新美団長:
「他人事じゃなくてああいう状況にもなり得るということですので、まだ余震が続くかもわからないので、それが収まってからゆっくりとやられた方がいいと思います。すぐに復旧させるのではなく」
現在、名古屋市では感震ブレーカーの設置費用の助成などをしています。
ひとつ間違えば、街を焼き尽くすことになる密集地での電気火災を未然に防ぐため、今対策が求められています。