校長等の推薦名簿と共に金品…元校長が実態を証言「世話になった人への志の一環」名古屋市教委の金品授受問題
名古屋市教育委員会が教員の団体から現金などを受け取っていた問題をめぐり、中学校の元校長が取材に応じ、現金のやり取りについて証言しました。
中学校の元校長:
「たぶん封筒に入れて1万円だったと思うんですけど。『体に気を付けてください』ということでお渡ししたことは確かですね」
名古屋市教育委員会で長年続いていた驚きの慣習について証言したのは、市内のある中学校の元校長です。
中学校の元校長:
「前任が『こういう風にしてます』って言うから、『はい、分かりました』って、『陣中見舞いみたいなのでお渡ししますね』と言って引き継いでいて」
区ごとの校長会の会長を務めていた約10年前、市教委の教職員課の職員に現金を手渡ししていたと証言しました。
2月に明らかになった、教育委員会で人事を担当する教職員課が校長会や大学ごとの同窓会、教科の研修会などの団体から金品を受け取っていた問題。
市教委によりますと、これらの団体は毎年、次の校長などの推薦名簿を提出していて、2023年度は約60団体が名簿とともに5000円から6万円ほどの現金や商品券計200万円以上を渡していました。
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河村たかし名古屋市長:
「一番長い方で30年前から実はあったと。そんな金をなぜ集める気になったんだと、何に使ったかと」
教職員課に集まった多額の金品のうち、過去6年で200万円以上を人事を担当する元教員の幹部個人が受け取っていたこともわかり、市は調査チームを立ち上げました。
教師が教師にワイロを渡し、ポストを得ようとしたようにも見えますが、取材に応じた元校長は…。
中学校の元校長:
「本当に励まし・声かけの意識しかなかったけどね。1万円やそこらで人事を動かしてもらえるなんて夢にも思っとらんし」
自身が会長を務めた校長会からポストを要求しようという意味合いはなかったとした上で、その実態を証言しました。
中学校の元校長:
「(各校長から)推薦してもらった方たちを一応まとめるんだけど、中には個人的に知ってる人もいるし、全く知らない人もいるわけですよ。そんなところを恣意的にやりようがないので。僕の場合は(推薦名簿は)年数で並べたような気がする。基本的には『知ってください』とか『こういうことをやってますよ』というのを情報として送ることで、あとはそれ以上口は差し挟めんでしょう」
この男性が会長を務めた区の校長会では、毎年8月に教職員課を訪問し、教員出身の職員も多いことから激励の意味を込め、暑中見舞いの名目で金品を渡すことが慣例化していました。
その後、年末ごろの別の機会に各校長から上がってきた校長・教頭・教務主任の推薦名簿を手渡していたといいますが、あくまで参考資料のつもりだったと強調しました。
中学校の元校長:
「お中元とかお歳暮とか、普通にお世話になった人には何らかの形で志を示すじゃないですか。われわれの感覚で言うと、その一環でしかないわけ。教育界とか教員に対しての信頼感をなくすようなことになったのでは本末転倒なので、やめていった方がいいだろうね」
人事を担当する同僚たちに「気持ち」だと言って現金を渡すのが、名古屋の学校の常識だったのでしょうか。
この問題をめぐっては、教職員課だけでなく教員への教育指導や生徒指導などを担う市教委の指導室も、教員の団体から金品を受け取っていたことが新たに分かり、市が実態解明を進める方針です。