暖冬で“表層雪崩”起きやすい状況か…スキー場の敷地外『バックカントリー』に注意 圧雪されず自己責任に
週末、北海道、長野、鳥取で雪崩が相次ぎ、スキーヤーや登山者らを襲いました。
長野県小谷村の北アルプス風吹岳で3月2日、雪崩が発生し、バックカントリースキーをしていた愛知県や岐阜県などから来た10人が、一時巻き込まれました。
鳥取県の大山でも2日、登山をしていた男性3人が雪崩の被害に遭い、2人が行方不明に。
北海道利尻島の利尻山では3日、雪崩が発生し、スキーやスノーボードをしていた8人のグループのうち男女4人が巻き込まれ、40代女性が死亡、20代の男性ガイドが重傷を負いました。
過去にはこの地方でも、雪崩は起きています。2022年3月、岐阜県のスキー場で雪崩が起き、その時の映像が撮影されていました。スキーヤーの目の前をゆっくりと滑り落ちる雪。けが人はいませんでしたが、急に気温が上昇したことが原因とみられています。
雪崩は毎年、春にかけて増える傾向にあります。2024年は特に暖冬による表層雪崩が起きやすいとみられています。
表層雪崩とは、古い雪の上に新しい雪が積もった時に、雪が滑り落ちて起きる雪崩です。
暖冬により雪が降り続かなかったことで、古い雪と新しい雪の雪質が異なる状態になり、さらに急に大量の雪が降ったことで、雪崩を引き起こす条件が重なったといいます。
こうした雪崩による事故をどう防ぐのか。岐阜県郡上市のスキー場「高鷲スノーパーク」を訪ねました。
高鷲スノーパークの蓑島治明支配人:
「ここに警告ということで、バックカントリーに行かれる方に対して注意書きを書いています」
ゲレンデに出る手前に、バックカントリーの危険を呼び掛ける看板が設置されていました。
スキー場のコースは事故が起きないように整備されていますが、敷地外を滑るバックカントリーは自然の中での滑りを楽しむことができる一方で、危険もあります。
蓑島治明支配人:
「スキー場の管理区域は、圧雪をしたりしてしっかりと管理して提供しているコースです。管理区域外に出るということは、あくまでも自己責任で入っていただくことになりますから」
ゴンドラで標高約1550mのゲレンデの山頂まで登ってみました。
(リポート)
「ここから先は看板があるようにスキー場の敷地外、つまりバックカントリーになります。長靴が埋もれていくくらい、圧接されていない雪がずっと続いています」
スキー場の敷地内とバックカントリーの差は一目瞭然です。雪山登山をしていた人に話を聞きました。
登山客:
「腰ぐらいまで新雪なので、ラッセルで。バックカントリーの人、けっこういっぱい入っているから。(スキーヤーが)埋もれていました」
別の登山客:
「無理せず、天候が違うなと思ったらすぐ引き返すとかが大事かなと思います」
専門家にも注意点を聞きました。
日本山岳会東海支部の高橋玲司支部長:
「SNSとかインターネットが普及して、過去の人の登山記録がすぐ見れるような状況です。それを信用してしまって、昨日行けたから今日も行けるだろうというのはちょっと違うものですから。引き返す勇気を持って、楽しく行っていただくことが大事かなと思っております」