駅は大混乱…JR東海道線が約5時間運転見合わせた法面崩落事故はなぜ起きたのか 専門家の見解は
JR東海道線の線路脇で12日夕方、のり面が崩落し、約5時間にわたって運転見合わせとなりました。崩落の原因について、地盤工学が専門の大学教授に見解を聞きました。
12日夕方、名古屋駅近くのJR東海道線で起きたのり面の崩落事故。幅16.5mにわたって崩れ、JR東海道線は名古屋駅と岐阜駅の間で、約5時間にわたり運転を見合わせました。
帰宅ラッシュを直撃したため、振り替え輸送が行われた名鉄の改札前は、人だかりができて大混乱となりました。
岐阜へ向かう男性客:
「30分くらい前もチャレンジしてみたんですけど、全然人がはけていなくて、困りましたね」
岐阜へ向かう女性客:
「旅行の帰りなんですけど、名古屋に戻ってきたらお家に帰れないという感じで」
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一夜明けた13日は、始発から通常通り運行しました。崩落現場では電車が速度を落として徐行運転をしていますが、ダイヤに大きな乱れは出ませんでした。
岐阜駅の利用客:
「ネットで(運行)情報がちゃんときていたので、この後予定があるんですけど、この時間でも間に合うかなと」
13日も、重機を使って土のうを積む復旧作業が続けられていました。
(リポート)
「くずれたのり面は、下の部分が空洞になってしまっています」
東海3県の大動脈ともいえるJR東海道線が、長時間にわたり運転を見合わせることになった崩落事故。JR東海は原因を「調査中」としていますが、専門家は一つの可能性を指摘します。
名城大学理工学部の小高猛司教授:
「擁壁の下側がくの字に曲がって落ちて、下側に落ちた影響で上ののり面が崩れていますので、擁壁が何らかの要因になっていることは間違いないだろうと」
地盤工学が専門の名城大学の小高猛司教授は、のり面の下の部分にある擁壁から崩れた可能性があると指摘します。
崩落前の現場を見てみると、盛り土がされているのり面の下の部分に、コンクリートの擁壁があるのが分わかります。
名城大学理工学部の小高猛司教授:
「擁壁というのは土を止めている構造物ですから、土は雨が降ってどんどん水が溜まっていくと重くなってくるんですね。それで崩れやすくなるんですよ。弱くなっていたとしたら、崩れやすくなっているかもしれない」
のり面の擁壁は、土をコンクリートで止める役割があり、一般的に老朽化すると雨などが原因で崩れることがあるといいます。
12日名古屋では、朝5時から崩落が起きた午後4時までに約45ミリの雨を観測していました。
名城大学理工学部の小高猛司教授:
「あの程度の雨は今までいくらでもありますので、要因がいくつか重なったということだと思います」
崩落現場に隣接する場所では、名鉄が3カ月ほど前から通信機器を収める建物を建てる工事を行っていましたが、12日は工事をしておらず、JR東海と名鉄は工事との因果関係は調査中としています。
JR東海は復旧作業を急ぐとともに、崩落の原因を調べています。