群馬では9歳女の子が死亡…遮断機等ない「第4種踏切」東海3県にも199カ所 廃止できないローカル線の事情
群馬県高崎市で2024年4月6日、小学生で9歳の女の子が、踏切で列車にはねられ亡くなりました。現場の踏切は遮断機も警報機もない「第4種踏切」で東海3県にも約200ありますが、廃止するには高い壁があります。
群馬県高崎市の線路前に手向けられた多くの花。6日、すぐ近くに住む小学生の渋沢姫星愛さん(きらら 9)が、踏切で列車にはねられ亡くなりました。
渋沢さんの同級生の女の子:
「(一緒に)折り紙とかよくしてた」
女の子の母親:
「今までありがとうってノートに書いたよね。4年生になっても一緒に遊びたかったって。明日が始業式だったので、悔やまれます」
6日午前8時53分、群馬県高崎市の上信電鉄の踏切で事故は起きました。現場となった踏切の周りには田んぼが広がり、見通しは悪くありません。
現場には注意を促す標識はありますが、警報機や遮断機のない「第4種踏切」という踏切です。
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上信電鉄によると、当時列車は時速70キロほどの速度で走行していて、そこに犬を散歩していたとみられる渋沢さんが、犬を追いかけるようにして線路内に入ってきたといいます。
列車の運転士が認識したのは約50m手前で、非常ブレーキをかけ警笛を鳴らしましたが、間に合わなかったということです。
遮断機も警報機も無い第4種踏切は、東海3県にも数多く点在しています。
岐阜県関市の長良川鉄道のこの踏切には、注意を促す看板は設置されていますが、遮断機と警報機はありません。
近隣住民:
「高校生が結構通りなさる」
関下有知(せきしもうち)駅から南に200mほどにある踏切は、近くに県立高校などがあり、利用する人は多いといいます。
こうした第4種踏切は岐阜県内に114カ所あり、愛知にも40カ所、三重にも45カ所存在します。
長良川鉄道は総延長約72kmですが、137カ所ある踏切のうち第4種の数は29カ所にのぼります。
こうした踏切をなくすことができない理由について、長良川鉄道の担当者はコストの問題があるといいます。
長良川鉄道の運輸部長:
「場所によって相当な金額の差は出てくるとは思うんですけど、何千万円というようなお金がかかってくるのかなと思います」
長良川鉄道によると、遮断機と警報機を設置するには1カ所あたり少なくとも1千万円以上の費用がかかり、利用客が少なく資金繰りが厳しいローカル鉄道にとって、その整備は簡単なことではありません。
また、踏切を廃止すると遠回りが必要で、地域の住民から存続を求める声もあるといいます。
近隣住民:
「あそこ(踏切)がとまったら、多くの人が迷惑だと思いますよ。自転車も結構通ります。なくなると不都合やと思います」
実際に約230m離れた遮断機のある踏切まで迂回してみると、線路を渡るまでに約2分かかりました。
長良川鉄道では、開業時57カ所あった第4種踏切を38年かけて半分ほどに減らしましたが、全てを整備するのは難しいといいます。
長良川鉄道の運輸部長:
「廃止になると、沿線の住民の方との協議が難航するとか。改良にしても第1種踏切にするには多額の資金が必要になるということで、弊社も大きな赤字経営をしておりまして、なかなかそこまで整備が進まないというところが現状かと思います」