レクサスRXのエンジンでも…認証試験の不正で国がトヨタ本社に立ち入り検査 豊田会長「完璧な会社じゃない」
トヨタ自動車の豊田章男会長は6月3日夕方の緊急会見で、車の量産に必要な型式証明の認証試験で2014年以降、7車種について不正があったと明らかにしました。国交省は4日、不正があった7車種のうち3車種の出荷停止を指示し、トヨタ本社に立ち入り検査に入りました。
豊田章男会長:
「トヨタグループの責任者として、お客さま、クルマファン、全てのステークホルダーの皆さまに、心よりおわび申し上げます。今回の問題は正しい認証プロセスを踏まずに、量産・販売してしまった点にございます。お客さまに安全にお使いいただけることを確認しております」
豊田会長は、販売済みの車の安全性に問題はない、と強調しました。いったいどんな不正があったのでしょうか。
メーカー各社は、車のボンネットやバンパーに人と見立てたダミーをぶつけたり、車を壁に衝突させたりする試験で安全性能を評価します。
トヨタによると、クラウンなどの試験で、衝撃ではなくタイマーでエアバッグを開かせたほか、カローラやシエンタなどの試験では定められたのと異なる角度でダミーをぶつけていたといいます。
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トヨタは、いずれも認証試験の基準より厳しい条件になっていて、安全性には問題はないとしています。
これ以外に、より深刻な不正がありました。レクサスのなかでもとくに人気が高いSUVタイプの「RX」で、狙い通りのエンジンの出力が得られず、データを改ざんしていました。
トヨタ自動車カスタマーファースト推進本部の宮本真志本部長:
「レクサスRXのエンジンの開発において、エンジン出力を確認した認証試験です。狙った出力が得られるようにコンピューター制御を調整し、再度試験したデータを使用してしまいました」
6月3日、トヨタのほか、ホンダやマツダなどが一斉に認証試験をめぐる不正を明らかにしましたが、これは国交省が、ダイハツや豊田自動織機などトヨタグループで相次いだ不正を受けて、各社に調査を求めていたものでした。
豊田章男会長(2024年1月):
「日野自動車、ダイハツ工業、豊田自動織機の相次ぐ不正により、ご迷惑・ご心配をおかけしておりますことを、深くお詫び申し上げます。今回の3社、いろいろ不正を起こした会社は、やっちゃいけないことをやったわけでありますので、それに対しては会社をつくり直すくらいの覚悟でやらざるを得ない」
2024年1月には、グループの責任者としてこう話していた豊田会長ですが、その4カ月後には、トヨタ本体でも不正が明らかになりました。
豊田章男会長:
「正直残念な気持ちと、『ブルータス、お前もか…』という感じじゃないでしょうかね。ただ、再三私が申し上げておりますのは、トヨタは完璧な会社じゃないんですね。間違いをした時には一度立ち止まり、現地現物で何が起きたのかを確認することで、我々にはまだ改善の余地があるという気づきを得ることができたと思っております」
豊田会長が「完ぺきではない」と釈明したトヨタのつまづき。自動車業界に詳しいアナリストの中西さんに話を聞きました。
ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹さん:
「使っている商品自体に何か性能の問題があるとか、不利益を被っているみたいなものは実は何もないんですね。ユーザーは裏切られているわけです。そこはトヨタも含めて真摯に受け止めるべきところでして、信頼回復に努めなければいけない」
国交省は6月4日、不正があった7車種のうち、現在も生産が続くヤリスクロスなど3車種の出荷停止を指示し、トヨタの本社に立ち入り検査に入りました。
トヨタは、ほかに不正行為がないか社内調査を続け、結果がまとまり次第、国交省へ報告するとしています。