2024年7月、新しい紙幣の発行が始まります。店舗では新紙幣対応に苦慮しているところもありますが、キャッシュレス決済を多用する若い世代は、新紙幣発行への関心は薄いようです。

 20年ぶりに発行される新しい紙幣。渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎がデザインされ、ニセ札の防止のため角度を変えると肖像が動く「3Dホログラム」など、最新の技術が使われています。

 実際の発行・流通は2024年7月3日からで、それまでは見本を日銀名古屋支店の見学コースでも見ることができます。

 発行まで1カ月を切り、対応に苦しむ店もあります。

 名古屋市熱田区のラーメン店「フジサワ中華そば日比野店」は、店に入ってすぐ、譲ってもらったという中古の券売機が置かれています。

【動画で見る】7/3から20年ぶりに発行の『新紙幣』コスト面で券売機やめる店も キャッシュレス世代は「何も思わない」

フジサワ中華そば日比野店の担当者:
「中を変えるにしても40~50万円かかるということで、厳しいですね」

 この券売機は、新紙幣の読み取りに対応するのに50万円ほどの費用がかかるといわれ、まだ改修できていません。

 チャーシューに使う豚バラ肉をはじめ、小麦や昆布、煮干しまで、あらゆる原材料が高騰しています。5年前に1杯580円だった中華そばは、これまでに250円値上げし830円となっていますが、新紙幣対応のためにさらにコストを上乗せするのは難しいといいます。

フジサワ中華そば日比野店の担当者:
「(券売機を)撤去して手書きで伝票を書いて、現金で対応させていただこうかなと思っております。仕事も増えますが、そうしないとやっていけない状態です」

 7月からは券売機を処分して、一人ずつ注文を聞き取るスタイルに変えるといい、店にとってはあわただしいランチタイムになりそうです。

 名古屋駅近くの別のラーメン店「フジヤマ55」では、入れ替えたばかりのピカピカの券売機がありました。

フジヤマ55の澤竜一郎代表:
「先々週ですね。切り替えホヤホヤみたいな感じです。新紙幣に変わるので、キャッシュレスの時代なので、ペイペイはじめそういうのにも対応できるように。お店で導入する厨房機器とかいろいろな機材があると思うんですけど、その中で一番高いのが券売機でして」

 ラーメン店で一番高いという券売機の値段は約250万円。新紙幣への対応だけでなく、キャッシュレス決済の機能も初めて導入しました。

 店は20年ぶりの新紙幣への対応に追われていますが、若い世代を中心に「お金離れ」し、キャッシュレス決済の利用も増えているようです。

 実際、街で新紙幣について尋ねると、こんな声も聞かれました。

男性:
「(現金は)あまり使わないですね」

女性:
「QRコード決済が一番多いです」

別の男性:
「(新紙幣に変わっても)特に何も思わないです」