名古屋市中区の「松坂屋名古屋店」で6月10日、屋上に70年以上設置されてきた看板の撤去作業が始まりました。

 撤去されるのは「いとうまる」と呼ばれるマークで、創業家の伊藤家の「藤」に、組織と団結を表す「井桁」、そして完全を意味する円で囲んでいます。

 江戸時代に描かれた尾張名所図会にも描かれている、由緒ある「いとうまる」ですが、なぜ今、撤去することになったのでしょうか。

松坂屋名古屋店営業推進部の担当者:
「老朽化ということで撤去することを決定いたしました。何らかの形で残していくことを現在検討しております」

【動画で見る】70年以上あった看板を撤去…変わる名古屋の老舗百貨店・松坂屋 令和の時代に合わせ館内もアップデート進む

 1611年創業、400年以上の歴史を誇る松坂屋。現在の本館はおよそ100年前に建てられたもので、本館にある階段の一部など、随所に歴史の重みを感じさせます。

女性:
「さみしいですよ、やっぱり。遊園地もなくなってね、さみしいね」

別の女性:
「昔からあるから、なじみはある。小さい頃はデパートというと、よそ行き着て出かけるみたいな感じだった」

 松坂屋は、名古屋の百貨店の中でも特別な存在ですが、令和の時代となり、大きな転機を迎えています。

 創業400年以上の歴史を誇る松坂屋。およそ100年前に建てられた本館は、1945年の名古屋大空襲でほぼ全焼しました。

 しかし、当時の骨組みを生かし、8年後に改修が完了。その時、大津通り側の屋上に松坂屋の文字とともに創業当時から続くこのマークが取り付けられました。

松坂屋名古屋店営業推進部の担当者:
「お客さまからは『昔はあの看板をめがけて買い物に来ていたんだよ』などの声もいただいてはいるので、すごく愛されてきた看板なんだと改めて実感しております」

 目当てのものを求めて押し寄せる人々。お中元にお歳暮、百貨店がにぎわいを見せた昭和の時代。

 しかし今、百貨店は「冬の時代」を迎えています。2024年1月には、名鉄百貨店一宮店が閉店。2024年7月末には岐阜高島屋が閉店し、岐阜県には百貨店がなくなります。

 屋上看板は、午後には慣れ親しんだマークがすでに外されていました。

 松坂屋では現在、史上最大規模のリニューアルを進めています。本館3階と4階などで改装工事を行っていて、2025年上期までに8つのフロアをリニューアルします。

 およそ100年にわたり子供たちに親しまれてきた「屋上遊園」も5月から休園し、令和の時代に合わせアップデートされます。

松坂屋名古屋店営業推進部の担当者:
「今後50年100年と皆さまに愛していただけるお店づくりに努めてまいりますので、ぜひご期待していただければなと思います」