6月16日、岐阜県美濃市の川で男性2人が死亡するなど、岐阜県内で水難事故が相次いでいます。専門家は、透明度が高い川でも「水深が浅く見えて勘違いが起きやすい」として、注意を呼びかけています。

 美濃市内を流れる長良川では16日午後、パキスタン国籍の男性(30)が溺れ、川に流され死亡しました。

 また、同じ美濃市内の板取川でも16日、シリア国籍の男性が死亡しました。

【動画で見る】透明度高い川には「見えない危険」も…岐阜で川遊び中の死亡事故等が続発 ガイドが指摘する“勘違い”とは

 15日には、中津川市の付知川で、友人と川に遊びに来ていた18歳の男子大学生が溺れ、意識不明の状態でドクターヘリで運ばれました。

 岐阜県内では2023年、28人が水難事故で死亡しています。パキスタン国籍の男性が死亡した長良川の美濃橋周辺では、日本語と英語で「この付近では水難事故が多発しています」とアナウンスを流し、注意を呼び掛けています。

 遊泳禁止ではありませんが、川沿いには「とびこまない」「対岸へ泳いで渡らない」などの看板があちこちに設置されています。

 美濃橋周辺は岐阜県内で最も水難事故が起きている場所で、2008年から2023年までの間に37件の水難事故があり、18人が死亡しています。

美濃市民:
「(土曜日は)20台以上車があったんやないかな。テントを張ったり。川の真ん中くらいまで泳いでいた。休みの日なんかひどいもんです」

 17日も、河川敷にテントを張りバーベキューを楽しむ人たちの姿がありました。川の流れは一見、穏やかにみえますが、岐阜県の美濃土木事務所によりますと、美濃橋周辺には流れが急に速くなるところや、隠れた岩に流れがぶつかり渦ができるところがあるということです。

 ソロキャンプを楽しんでいた男性も、過去に渦に巻き込まれた経験があるといいます。

春日井市から来た男性:
「自分の場合だと、泳いでも同じ場所から進めないみたいな。ひやっとした時はありますけど」

 長良川でラフティングなどのガイドをしている梅本さんに話を聞きました。

ODSSリバーベース長良川の梅本徹さん:
「緩やかに見えてしまうというのが、まず一つ油断するところかと思います。深さも一気に深くなるので、足がつかないこともあります。誰かが泳げたから俺もいけるみたいな感じで、どんどんいったりする人もいる」

 シリア国籍の男性が死亡した美濃市の板取川では、川の流れは穏やかで、川底が見えるほど水が澄んでいますが、専門家は「透明度が高いほど気を付けるポイントがある」といいます。

水難学会の斎藤秀俊理事:
「水底が思ったよりも近く見えるんです。ぱっと見た時に『ここは浅いな』と勘違いしてしまう」

 紙コップを使った実験があります。水を入れると、底にある10円玉が見えるようになります。これは、光の屈折で起きる『目の錯覚』で、水が入っていないと10円玉は見えませんが、水を入れると光が水面で屈折し10円玉が見えるようになります。そのため、“実際よりも浅い”場所に10円玉があるように錯覚してしまいます。

 東海地方は、今週にも梅雨入りするとみられています。夏に向け、川遊びにはより一層の注意が必要です。

水難学会の斎藤秀俊理事:
「ゲリラ豪雨が川の上流で起こると、川の水量が一気に増えるんです。ちょっとでも変化を感じたら、すぐに川から上がって高台に避難してほしい」