計4億円超の不正請求を認定…障害者施設運営『恵』愛知県等が指定取消処分 生活の場なくす利用者からSOSも
愛知県は6月26日、障害者グループホームの運営会社「恵」に対し、県内5つの事業所の指定取り消し処分をしました。
愛知県の大村秀章知事は、午後2時から記者会見し、愛知や岐阜など各地で障害者グループホームを運営する「恵」の県内13の施設に対し、福祉サービスの事業所としての指定取り消しなどの行政処分をしたと明らかにしました。
大村愛知県知事:
「誠に遺憾であり大変残念であります。利用者やご家族をはじめ、多くの関係者の方々の信頼を裏切るものでありまして、大きな憤りを感じております」
これとは別に、名古屋市や豊橋市なども14のホームについての処分を発表しました。
納豆ご飯に、具がほとんどない汁もの、少量の野菜炒め。これは恵のグループホームで利用者に提供された食事の写真です。
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恵の元職員:
「最初は目を疑いました。一番衝撃を受けたのはレトルトの親子丼とか牛丼とかありますよね、1袋を2人に分けてご飯の上になるべく広げて、見栄えを良くして提供することもありました」
問題が明るみになったのは去年2023年の秋、利用者にわずかな食事しか提供せず、食材費を流用していた疑いが浮上しました。
愛知県の調査では、県内26の施設で総額2億1800万円の食材費の過大徴収が確認されました。
県と名古屋市などは、法令で定められた人員の配置基準を満たさないでサービスの報酬を受け取っていたなど、あわせておよそ4億1000万円の不正請求を認定しました。
大村愛知県知事:
「今後、指定取り消しとなった事業所については、利用者が転居する必要が生じることが想定されます」
影響は、今回処分の対象となったホームだけにとどまりません。
厚生労働省は不正への恵の組織的関与があったと認定し、連座制を適用。全国およそ100の施設について、この先の事業者の指定の更新を認めず、各施設は順次運営ができなくなる見通しです。
恵についての相談を受け付けている障害者の支援団体は…。
きょうされん愛知支部の今治信一郎事務局長:
「今後どうなるのか不安ということと、なくなった場合の行き先が確保されるのかどうかという、対応についての不安」
生活の場をなくす利用者やその家族からのSOSが、2023年10月以降、32件寄せられています。
愛知県や各市町村は利用者の引っ越しを支援する方針ですが、受け入れは簡単ではなさそうです。
友の家ホームにほ支援員の寺西さん:
「居室は2階に4部屋、3階にも4部屋、合計8部屋、8名の方が住んでいらっしゃる」
名古屋市の社会福祉法人「名北福祉会」は市内5カ所のホームを運営していますが、いずれも満室です。
友の家ホームにほ支援員の寺西さん:
「本当に困る人がいっぱい…どうしてあげたらいいのかも分からない、こちらも。どこまで手助けができるのかなと思うんですけれど」
愛知県を中心に23のグループホームなどを運営している「ビジョナリー」の丹羽悠介社長は、恵の施設の運営を引き継ぐことも考えたいとしていますが、そこにもハードルがありました。
ビジョナリーの丹羽悠介社長:
「スタッフの確保です。今いらっしゃるスタッフの方々がそのまま働いてくれるかどうかも分からない。けっこう重度の方を見ていたといううわさも聞いていますので、この方々がどんな特性で、今いらっしゃる利用者さまの把握にもかなり時間がかかる。けっこう大変じゃないかなと思いますね」