昭和的でも若者には新鮮味…俳優・吉田鋼太郎の“説教論”「筋の通った愛のこもったお説教は聞いてもらえる」
現在公開中の映画「おいハンサム!!」で、家族の幸せを一番に考える、ちょっとウザい“パパ”を演じる、俳優の吉田鋼太郎さんは現在65歳です。吉田さんに心がけていることなどを聞きました。
■イケオジになるために…
吉田さん:
「僕らの世代、僕はもう65歳ですけども同級生の連中を見ていると、どんどん頭が固くなっているんですよね。自分の意見を曲げないとか、自分の意見を押し付けるとかね。こうなってはいかんなと」
頭を柔軟にしておくことや、若い人とたくさん話して何を思っているのか、何を考えているのかに対して、受け入れる姿勢を持っておきたいと話します。
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娘がまだ3歳だという吉田さん。娘といる自分は「愛情の塊」だといいます。
吉田さん:
「娘といる自分っていうのが、もう本当に愛情の塊になれるわけですよ、もう掛け値なしに。そうすると例えば大きな声で怒鳴りつけるとか、怒るとかということを絶対したくないわけですよ。完全に愛だけで娘と接している自分っていうのは『結構俺もいいとこあるんじゃないの』って思ったりはしますけどね」
■狭まる表現の自由への危機感
長年、舞台で活躍してきた吉田さんは、演出や上演台本も手掛けています。理不尽の中で育ってきた世代ですが、押し付けるような考えには否定的です。
吉田さん:
「それは絶対ダメなんですよ。そうすると、もちろん俳優の人々は萎縮してしまって、逆にできることもできなくなっちゃうっていう事態に陥るので。お芝居の練習・稽古こそ本当に論理的に優しく、かみしめるようにして説明していかないと芝居が作り上げられていかないので、そこにおいて根性論とかね、『やってみろ』みたいなことはまず起きないですね」
そして時代の変化については、表現の危機を少しだけ感じているといいます。
吉田さん:
「例えばセクハラに当てはまるような、誰かを、女性をののしる言葉もよく戯曲の中には出てくるわけです。シェイクスピアなんかもその一番いい例で、絶対に今言っちゃいけない言葉が山ほど出てくるわけです。それはある程度まだ認められている、許されているわけです。演劇の中ではOKと。ただそのことも段々、ひょっとしたらちょっとクレームが入り始めるんじゃないかと、もしこれが過熱すればね。その危機感はとても思っています。表現の自由に関して、ちょっとずつなんか狭くなっていってしまうのではないだろうかっていうね、それは今ものすごくちょっと感じていますね」
吉田さんは「おいハンサム!!」で「昭和時代のお父さん」を演じていますが、若い世代からも支持されている理由は「説教の新鮮さ」ではないかといいます。
吉田さん:
「まあ昭和的ですよね、お説教。ただ、そのお説教が逆に新鮮みたいなことはよく言われますね。お説教ということ自体が世の中になくなりつつありますので、筋の通ったお説教であれば、あるいは愛のこもったお説教であれば聞いてもいいんじゃないのみたいなことを思ってくださっているんじゃないかなと思いますけどね」
昭和のお父さんが奮闘する令和のコメディ、映画「おいハンサム!!」は現在公開中です。