物価高や人手不足が子供達にも影響…“学校給食のパンがピンチ” 教室からは「ごはんに飽きてくる」と不満も
三重県の大台町と大紀町で、業者の人手不足を理由に、2024年春から学校給食でパンの提供がなくなっていることがわかりました。「揚げパンが食べたい」などと子供たちからも不満の声もあがっています。パンが給食からなくなっているのは、三重県以外でも起きています。
大台町の宮川小学校では6月20日、午前中の授業が終わり、ランチルームに子供たちが続々と集まってきました。
児童:
「手を合わせましょう!いただきます!」
この日の献立は、具だくさんな味噌汁にシシャモのフライ、そしてきゃらぶきを炊きこんだごはんです。
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みんなと食べる給食は格別ですが、子供たちには不満がありました。
6年生:
「ご飯ばっかだと飽きてくるから、ちょっと悲しいなって」
1週間の献立表を見てみると、麦ごはん、麦ごはん、麦ごはん…。パンが献立から消えていました。いま各地で給食のパンがピンチを迎えています。
5年生:
「(一番好きなのは)揚げパン。ご飯よりパンの方が好きなので寂しいです」
6年生:
「普段揚げパンとかあまり食べられないから、学校で楽しみにしていたのに」
大好きな揚げパンを食べられなくなったと訴える子供たち。今も昔も人気メニュー筆頭の揚げパンだけではありません。
三重県大台町では2024年4月から、パンの製造業者が配達のスタッフを確保できず、全ての小中学校で一切の「パン給食」がなくなりました。
宮川小学校の担当者:
「『頻度を下げてもやってもらえないか』とお願いしていたんですけども、最終的には『難しい』という話になりました。パンがなくなって、ご飯とグラタンとサラダというのは『食べやすいのかな?どうなのかな?』というのもあって。パンの時に出していたものを、今はちょっと出さなくなっている」
取材を進めると、三重県では大台町のほか大紀町でも、この春から給食でのパンの提供がなくなったことがわかりました。
実は給食のパンがピンチなのは、三重県に限ったことではありません。
東濃学校給食炊飯センターの嶋内八郎社長:
「昔は岐阜県下でも100社くらいパン屋さんがあったんですね。今はパンを納めているのが12社くらいに減っています。県全体でどうやってカバーするかというのが、今後の重要課題かなと思っています」
岐阜県の東濃地方を中心とした学校にパンを届ける東濃学校給食炊飯センターの嶋内八郎社長は、給食向けのパンは以前から採算が厳しく、廃業や撤退が相次いでいると明かします。そこには特有の事情もありました。
嶋内社長:
「カロリーを全部計算して提供しますので、低学年用のパン、中学年用のパン、実は4種類も5種類もというのが学校給食の特徴」
学年ごとに大きさを変えるなど、給食のパンは意外と多品種です。
午前中のうちにまとまった量を各学校に届けなければいけないことから、生産や配送の効率化が難しいといいます。
ご飯の給食が広がり、年々採算が合いづらくなっていたところにここ数年、原材料や電気代の高騰や人手不足が襲い、パン給食はますますピンチに。
三重県の2つの町以外にも、この春、福井市や兵庫県丹波市の給食からもパンが消えていて、今後この波はさらに広がりそうです。
4月からパン給食が無くなった三重県大台町でしたが、子供たちからの「パンを食べたい」という声は強く、学校側が動きました。
なんとかパンを搬入してくれる業者が見つかり、2学期から再開できることになりました。
食品卸業者の野村勉社長:
「光栄ですね。子供たちの喜ぶ顔が目に浮かびます。おいしいものを平等に食べていただきたいなという思いがあります」
物価高や人手不足の影響は、子供たちの給食にも迫ってきています。