東海道新幹線の線路上で7月22日未明、2台の保守車両が衝突して脱線し、午後5時時点でも名古屋-浜松間の上下線で運転を見合わせています。

 22日午前3時半ごろ、愛知県蒲郡市神ノ郷町の東海道新幹線上りの線路上で、2台の保守用の車両同士が衝突し、いずれも脱線しました。

 2台の車両は一方の車両が、もう一方にめり込むように衝突していて、追突した車両に乗っていた作業員の男性が足を打撲するケガをしたほか、この車両の運転士の男性もケガをしました。ともに命に別状はないということです。

現場近くの住民:
「ガガガガって感じで、地震かなみたいな感じで目が覚めた」

現場近くの別の住民:
「ドーンと音がして地震みたいに揺れたから、地響きみたいに。寝ていて、ドーンで起きて、ガタガタガタで地震かと思って」

 午前10時、愛知県蒲郡市の事故現場には作業員が集まり、対応を進めていました。

 この事故の影響で、東海道新幹線は22日の始発から一部で運転を見合わせ、午後5時時点でも名古屋-浜松間の上下線で見合わせていて、そのほかの区間で折り返し運転になるなど影響が広がっています。

【動画で見る】保守用車両2台が衝突し脱線…周辺住民「寝ててドーン!で起きた」東海道新幹線の一部運転見合わせ 再開見通せず

 午後0時半前、事故があった現場では復旧作業が続けられていて、ハシゴをかけて上の架線を取り除くような作業がされていました。

 今回の事故は、線路の下に敷く砂利=バラストを運ぶ運搬車が「マルチプルタイタンパー」と呼ばれる車両に追突したものです。

 マルチプルタイタンパーは、線路の下に敷き詰めるバラストをつき固めるための作業車で、運行が行われない深夜に装置を使ってレールを持ちあげながら、枕木の下にあるバラストを突き固める作業をしていきます。新幹線の保守点検作業は、運行が行われていない未明にかけて行われます。

 JR東海によりますと、保守作業を終え現場にとまっていたマルチプルタイタンパーに、回送途中だった運搬車が衝突したといいます。なぜ2台は衝突したのか、専門家に聞きました。

日本大学鉄道工学リサーチ・センターの松本陽最高顧問:
「保守用車両の衝突防止装置がちゃんと動作しなかったと思われます」

 また、人為的なミスの可能性も指摘します。

松本陽最高顧問:
「最終的には保守用車両の運転士がブレーキはかけられると思うので、居眠りをしていたとか、あるいは注意がそれていたとか、そういった人為的なミスというのが考えられますね」

 JR名古屋駅には切符を払い戻す人など朝から多くの人で混雑しました。夏休み最初の平日ということで、ビジネスマンに加え若者のグループ、さらに外国人観光客など多くの人に影響が及んでいました。

利用客:
「(仕事で)品川ですね。相手先にも電話して遅れる旨を伝えて、スケジュール調整しています」

2人組の利用客:
「ディズニーに行こうと、10時前くらいには舞浜に着く予定だったんですけど。このハプニングも楽しもうという感じで。全部思い出として残そうと思って」

 また、名古屋と浜松の間を在来線で移動する利用客らで、豊橋駅でもホームやコンコースに行列ができるなど大きな混雑が見られました。

利用客:
「伊勢に行く予定だったんですけど、浜松までしかなかったので、そこから乗り継いで豊橋まで来て、これから伊勢湾フェリーで向かう予定です」

 JR東海によると「復旧作業は22日午後7時ごろまでかかる見込み」ですが、「名古屋・浜松間の運転再開についてのめどは見通せない」としています。