車の逆走による事故が後を絶たない。2024年5月、三重県亀山市の国道で、逆走した車が大型バイクと正面衝突するなどし、1人が死亡。その翌日には、岐阜県中津川市でも逆走車が事故を起こし、2人が重傷を負った。逆走をしてしまった場合どうすればよいのか、警察や国に正しい対処法を聞いた。

■なくならない“逆走事故”…正面衝突し死亡するケースも

 亀山市の国道で5月25日、逆走した車が大型バイクと正面衝突するなどし、4台が絡む事故が起きた。大型バイクの運転手は全身を強く打ち死亡、警察は、逆走した車を運転していた77歳の男を逮捕した。

【動画で見る】もし高速道路で“逆走”したら…警察等に聞いた『正しい対処法』IC通過しても追加料金なしの「特別転回」も

翌日26日には、中津川市の国道で、逆走してきた軽乗用車が乗用車と正面衝突し、2人が重傷を負った。現場は中央分離帯がある道路で、逆走した車を運転していた42歳の女性が、誤って進入したとみられている。

逆走は高速道路でも起きている。伊勢湾岸道で2023年9月、路肩をゆっくりと逆走するトラックの様子が映像に残っていた。別のトラックがよける場面もあり、いつ事故が起きてもおかしくない状況だった。

トラックは本線に合流するための道路に進入して逆走を続け、別のトラックと鉢合わせてギリギリですれ違ったが幸い事故にはならなかった。

伊勢湾岸道では2023年、ほかにも逆走があった。

料金所の出口から入ってきた乗用車が逆走し、トラックと正面衝突。

乗用車を運転していた当時77歳の男性は一時、意識不明の重体となったが、その後、回復したという。

■逆走の原因は「過失」が約4割「故意」も2割超える

 2022年に起きた全国の高速道路での逆走の件数は204件で、そのうち44件が事故に繋がった。

国交省などによると逆走には主に3つのパターンがあり、1つが案内を誤認したり見落としたりして、逆走してしまう「過失」で全体の39%。認知症など、車を止めた後も逆走の認識がない場合が26%、そして「故意に」逆走したパターンが23%だ。 

過失による逆走を防ぐために、ラバーポールで区切ったり、路面を色で表示するなど、高速道路でも対策がされている。

それでも、誤って逆走してしまったときはどうすればよいのか、愛知県警に聞いた。

【高速やバイパスなど逃げ場がない道路】
▼路肩など近くの安全な場所に停止させハザードランプを点灯
▼車から離れガードレールの外側など安全な場所に避難
▼110番通報や非常電話で逆走したことを通報し待機

一般道などでは、定められた手順がなく、周りの状況を冷静に判断して脇道などを使って、正しい向きに変えるとしている。

■ICを通過してしまった場合は追加料金ない「特別転回」を

「故意に逆走」は、国交省などによると「降りようとした出口を過ぎてしまい、逆走とわかっているけど戻る」といったケースがあるという。

NEXCO中日本は、こうした逆走は絶対やめるよう訴えているが、目的の出口を過ぎてしまった場合には先のICで「特別転回」してほしいとしている。

「特別転回」は係員に説明して料金の加算なく高速道路を引き返すことができる制度で、次のICまでそのまま走り、料金所の「一般」レーンで係員に説明して指示に従って引き返す高速に合流して目的地まで戻れるというもので、乗り間違えた分の料金は発生しない。

この「特別転回」については、案内標識などを増やして周知を進めているということだが、ETCで入った場合はETCカードを一度抜くことや、インターチェンジの構造などによっては対応できない場合もあり、注意が必要としている。