愛知県蒲郡市で27日に発生した土砂崩れの現場は、ハザードマップでは住民に注意を促す土砂災害警戒区域には指定されていませんでした。土砂崩れが起きた理由について、専門家に話を聞きました。

 家族5人が巻き込まれ3人が死亡した蒲郡市の土砂崩れの現場付近を29日に取材すると、住民からは不安の声が聞かれました。

現場付近に住む人:
「他人事ではないので。(怖さは)あります。何かあるかもなということは」

 ハザードマップで土砂災害の警戒区域内に住む女性の自宅には、連日の大雨で裏山の木々が倒れ、寄りかかっています。

【動画で見る】土砂災害警戒区域には“指定されず”…家族5人巻き込まれ3人死亡の土砂崩れ現場 専門家「指定外でも危険性」

Q.台風10号が迫ってきています
現場付近に住む人:
「なるようにしかならないかなと。起きてみないと分からないし」

 今回土砂崩れがあった現場は、ハザードマップで土砂災害の警戒区域には指定されていませんでした。警戒区域となる傾斜地は「30度以上」と定められていて、今回の現場はその範囲外でした。

 蒲郡市の鈴木寿明市長は29日、警戒区域以外の市内の危険箇所を確認する考えを示しました。

鈴木蒲郡市長:
「蓄積された降雨量が土砂崩れを起こす原因になったと思いますし、この箇所だけではない所も、今そういった状況にあるかもしれない」

 地盤災害に詳しい名城大学の小高猛司教授は、今回の土砂崩れの原因についてこう指摘します。

名城大学理工学部の小高猛司教授:
「(現場の)山が風化をしていて、木も非常に細い木で、特に竹がたくさん生えているんです。竹は非常に根が浅いので、大雨が降ると表層が崩れやすいという特徴があります」

 現場を上空から撮影した映像では、土砂とともに多くの竹が確認できます。木々が深くまで根を張っておらず、整備されていない山に雨が降り続いたことで、土砂崩れが発生した可能性があるということです。

小高猛司教授:
「2日前から30ミリくらいの雨がずっと継続して降っていて、最後に100ミリ以上の雨がドンと降ったことで、それが引き金になって崩れたということかと。(警戒区域に)指定されていない所でも危険性はあるということを考えていただくことが重要」

 ハザードマップの警戒区域外で土砂崩れが起きたことで、土砂災害警戒区域を決めるルールの見直しを求める意見もあるかもしれませんが、小高教授は「ルール変更は法改正が必要で、新たに警戒区域に指定された土地に制限がかかるので、今後建物を建てることなどが難しくなる。慎重にする必要がある」と話しています。