「どんな大会でも全力」…61歳で日本代表最年長 “車いすの鉄人”伊藤智也選手のパリパラリンピック始まる
8月29日、パリパラリンピックが開幕し、日本代表最年長で三重県鈴鹿市出身の61歳、伊藤智也選手が車いす陸上に出場しています。「車いすの鉄人」と呼ばれ、400メートルと100メートルの2種目に出場。30日の400メートルは予選を通過し、31日の決勝に進出を決めました。鉄人の飽くなき挑戦の始まりです。
鈴鹿市出身の車いす陸上日本代表、伊藤智也選手は61歳で、日本代表最年長の選手です。2004年のアテネで初めてパラリンピックに出場。2008年の北京、2012年のロンドンに出場したのち、一度現役を引退しましたが、その後競技に復帰し、東京パラリンピックにも出場しました。これまでに金メダル2つ、銀メダル3つを獲得し、パリで5度目のパラリンピック挑戦です。
「車いすの鉄人」と呼ばれ、パリでは400メートルと100メートルの2種目に出場します。
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伊藤選手は34歳のとき、中枢神経などに異常が出る難病の「多発性硬化症」を発症。下半身のまひや左目失明の障害が残りました。
競技を始めてから25年余りが経ち、この8月で61歳となりました。
伊藤智也:
「衰えてはいきますよ。もう痛くないのは爪ぐらいなもんで、あと全部痛いですから」
伊藤選手を支える車いすは、軽量な流線形の車体にまるでF1のようなカラーリングです。モータースポーツなどの開発を進めている企業とともに高い技術を取り入れたほか、伊藤選手の体の特徴を数値化して改良を重ねました。
伊藤選手:
「身体をきちんと測定してそれに基づいて一番速く走れるであろうマシンの製作、イコール『座るという文化』を社会に落とし込んでいく、テクノロジーを落とし込んでいくプロジェクトなんですね」
障害があっても年齢を重ねても、世界最高の舞台へと進化を続けます。
伊藤選手:
「どんな大会でも一緒だけど全力を尽くすこと。特別な想いはもちろん4年に一度の大会なのでなるべくいい成績を残せるように頑張らないとなと思っています」
そして、パリパラリンピック後も選手生活を続けていくことを決めています。
伊藤選手:
「僕の所属会社であるバイエル薬品が『65歳まで行け』と言ってくれていますので。65というとちょうどロスパラリンピックなので、そこにアタックしていくよう頑張りたいなとは思っています。途中で体が壊れればわかりませんけどね」
伊藤選手は、30日夕方に行われた400メートルの予選で、31日未明に行われる決勝に出場を決めました。
また9月6日の早朝に行われる100メートル予選にも出場します。
2024年8月30日放送