8月25日に愛知県南知多町の日間賀島の出張動物園から逃げ出したペンギンが、およそ45キロ離れた知多市で9月8日に見つかりました。2週間もの間、慣れない環境でたくましく生きていたことに、飼育員は「奇跡と言わざるを得ない」と話します。

 ケープペンギンの6歳の雌『ペンちゃん』は人懐っこい性格で、常滑市を拠点とする出張動物園「劇団ペンターズ」の人気者です。

 しかし、ペンちゃんは8月25日、日間賀島の海水浴場で開かれた夏休み限定の「出張動物園」に参加していていましたが、スタッフが撤収作業を進めていたところ、防止ネットをすり抜けて“脱走”していました。

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 その後、台風10号や厳しい残暑もあり、飼育員は「生存は厳しい」と話していました。

劇団ペンターズの飼育員・今井亮輔さん(8月27日):
「(自然界での生存は)正直厳しいと思います。生まれてからこのかた、生きた魚を捕る学習をしておりませんので、このままエサが捕れない状況が続くと非常に危険です」

 脱走から2週間が過ぎた9月8日、日間賀島からおよそ45キロ離れた、知多市の「新舞子マリンパーク」で見つかりました。目撃者が撮影した動画には、海で涼しげに泳ぐペンちゃんが映っていました。

劇団ペンターズの飼育員・今井亮輔さん:
「『新舞子にペンギンがいる』と。急ぎ新舞子に向かって、目撃者と一緒にペンギンを捜そうと。とりあえずは安心と安堵。健康チェックをしてもらったんですけれども、外傷もなく状態も非常に良好」

 飼育担当の今井さんによると、脱走してから1週間後、日間賀島の南にある篠島での目撃情報もあり、何度か浜辺に立ち寄り休憩しながら、新舞子マリンパークにたどり着いたのではとのことです。

劇団ペンターズの飼育員・今井亮輔さん:
「正直なところ『ホントかよ?』って疑ったのが最初です。同じ鳥の仲間の見間違いかなと。奇跡と言わざるを得ない」

「温室育ち」のペンちゃんは2週間もの間、エサはどうしていたのを、今井さんに聞きました。

劇団ペンターズの飼育員・今井亮輔さん:
「食べていたっぽいんですよね。目の前でうんちをぷりっと出した。食べていないと出ない量の固形が出ていたので。魚だったら何でも食べるわけじゃないんですよ。ペンが機転を利かせたか、学習範囲内のエサを何かしらで得たか。カニか魚か、何かしらを食べて生活していたのかなと思います」

 慣れない環境でも、たくましく泳いで食べていたペンちゃんは、また移動動物園で元気な姿を見せてくれそうです。