7月25日にバンテリンドームナゴヤで行われた、史上初となる“中日ドラゴンズOB戦”、中日スポーツ創刊70周年記念「DRAGONS CLASSIC LEGEND GAME 2024」。

 柵越えも飛び出したバッティング練習から、試合の模様はもちろん、セレモニー終了に至るまでをアーカイブ配信している動画より、強竜チームの谷沢健一監督と昇竜チームの権藤博監督による夢の対決についてお届けします。
試合前から自ら予告していた監督同士の対決が実現したのは6回表。先にネクストバッターズサークルで準備運動を始めたのは76歳の谷沢監督。現役時代は通算2062安打・首位打者2回の天才バッター、カメラを指して「次行くぞ!」とやる気十分です。

 一方の85歳、権藤監督が静かにマウンドへと歩みを進めると、スタンドからはざわめきが。ルーキーイヤーに最多勝と沢村賞に輝き、流行語にもなった「権藤、権藤、雨、権藤」。投球練習では淡々とストライクを投げ込みました。

 球筋をじっくりと確認していた谷沢監督が左のバッターボックスへ。大きなハイライトを迎え、ドームの雰囲気は最高潮に…。

 1球目、2球目とアウトコースに外れ、カウントは0-2。ボールがやや上から出て来る権藤監督の投球フォームは現役時代さながらです。

 3球目は低めいっぱいに決まり、1-2。

 ここでバットをクルクルと回して構え直した谷沢監督。内角に来た4球目を鋭いスイングでとらえ、一塁線を破るかに思われましたが、ライン際のゴロをファースト・小笠原道大選手が鮮やかにキャッチ。そのままベースを踏んで結果はファーストゴロと、夢の対決は権藤監督に軍配が上がりました。

 2人合わせて161歳とは思えない対決に、実況アナが「投げも投げたり、打ちも打ったり!」と両者を称えると、解説席の山本昌投手はジーンと来ている様子で「感涙ものですよね…」と一言。両監督は互いに歩み寄って笑顔でがっちりと握手をし、これぞレジェンドゲームという名シーンとなりました。

強竜チーム・谷沢健一監督:
「インサイドに投げてくれとジェスチャーしたらね、その通り来たの。ちょっと詰まったね。あれは僕のミスですね(笑)。十分楽しめました。権藤さんの(対決したいという)要求にこたえてやりましたから!」

昇竜チーム:権藤博監督:
「よくボールが届きましたね(笑)。マウンドはWBCの時に始球式を1回やりましたから、まぁ慣れてはいたんですけど。やっぱり何とも言えないですね、こういう中で投げられるっていうのはね。60年前を思い出しました。谷沢は『OB戦じゃなくて違う所で監督やりたい』って言ってましたけどね(笑)」

 試合のほうは、最終回の7回までもつれる好ゲームに。昇竜チームのマウンドには四半世紀の時を超えて宣銅烈投手が上がり、打球をショートの李鍾範選手がさばくというグッと来るシーンが見られたほか、強竜チームの抑えとして岩瀬仁紀投手が登場し、その李選手との真剣勝負も実現。

 史上初の開催となった中日ドラゴンズOB戦。そこで生まれた数々の名場面にドームに集まった多くのファンが酔いしれていた様子でした。


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