リニア中央新幹線のトンネル工事の影響で地盤沈下が確認されている岐阜県瑞浪市で9月18日、住宅の調査が始まりました。

 工事の中断や遅れが相次いでいますが、静岡県では新たな動きがありました。

■リニア工事 トラブル相次ぐ

 リニアの建設を目指し、各地で工事が進められています。名古屋駅でも駅建設の工事が続いていますが、岐阜県瑞浪市では工事が中断され、調査員が家屋の傾きを調べていました。

リニアのトンネル掘削工事が行われている瑞浪市大湫(おおくて)町では、2024年5月以降、工事が原因の可能性がある最大2.4センチの地盤沈下が確認されたことから、18日からおよそ60世帯を対象にした家屋調査を始めました。

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この日、調査を受けた大内延男さん(83)の自宅は、壁と地面のあたりに1センチほどの溝が確認でき、地面のコンクリートも所々で割れてしまっています。

大内さん:
「(玄関の戸が)戻ってきちゃう。ゆっくり閉めてもダメ」

大湫町ではこうした住宅が他にもあることから、JR東海は5月中旬から周辺のトンネル工事を中断しています。

大内さん:
「今日の調査の結果を見て、また(JRと)お話をするということですね。うちでは、どうしようこうしようはできませんから。これから(トンネル工事が)進行して、どういう変化が出るか出ないかが問題じゃないかな」

他にも、多治見市にある「大針工区」のトンネル工事現場では、2024年7月、掘削工事をしていた44歳の男性作業員に掘削面の岩が崩れて当たる事故があり、下あご骨折などの重傷を負いました。

この現場では、作業員の頭上に岩などから守るガードが設置されないなど、作業手順が守られていないことも明らかとなり、工事再開のめどは立っていません。

■開業へ前進も…静岡県がボーリング容認

 リニアの開業予定は、当初の2027年から2034年以降に遅れる見込みですが、工事の前進に向けて9月17日、新たな動きがありました。

鈴木康友静岡県知事:
「調査というのは、工事を進めるにあたって必要なものだと。今回こうしてボーリング調査実施について進められることはよかったなと思います」

静岡県は、これまで認めてこなかった県内のトンネル工事を巡り、地質や湧水の状況を調べる「先進ボーリング調査」について、調査を認めたことをJR東海に報告しました。

川勝前知事が環境への影響に懸念があるとして、工事スタートに待ったをかけ続けていたことなどから、静岡工区の工事はおよそ7年間ストップしています。この区間の工事が始まれば、リニア建設に向けて一歩前進とも言えます。

大村秀章愛知県知事:
「大きな前進ではないかと。一番大事なのは、地元の皆さんの理解を得ながら進んでいくということ」

相次ぐトラブルで、リニアの開業はまだまだ見通せません。

街の人:
「静岡の知事が代わったので、何か動きあるかなという感じで期待はしています」

別の人:
「期待し過ぎると、また延期・延期で『あー』となりそうなので。地域の方と話し合って、もっと円滑に進んでいければいいかなと思います」