町を襲った多数の丸太も…死者・行方不明者5098人『伊勢湾台風』から65年 被災直後の新たな映像見つかる
1959年、死者・行方不明者あわせて5098人を出した伊勢湾台風の上陸から、2024年9月26日で65年が経ちました。当時の被害の様子を撮影した貴重な映像が新たに見つかりました。
■寄贈されたフィルムに映っていたのは「被災直後の名古屋」
愛知県大府市の「歴史民俗資料館」に今回、1950年代〜60年代に撮影された8ミリフィルム23本が寄贈されました。そのうちの1本に「伊勢湾台風」と書かれています。
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愛知県東浦町の前田聡さん84歳が、資料館が古い映写機を探していることを知り、今は亡き父親が趣味で撮影していたフィルムと共に、先日寄贈しました。
資料館でデジタル化し、この日、学芸員とスクリーンで見ることにしました。
大きな木が倒れた神社、壊れた家屋、被災直後の名古屋の様子でした。
前田さん:
「これ、うちの親父。これは自分の家、間違いない。うわ~懐かしいな」
前田さんの実家があった名古屋市中川区富田町千音寺などの被災直後の様子が、およそ5分間収められていました。
大府市歴史民俗資料館の学芸員:
「私が知っているイメージよりも、見た時に衝撃を受けたというか、これだけ被害が大きかったんだと」
■大きく変貌した街…フィルムに映っていた場所を辿る
ちょうど65年前の1959年9月26日、伊勢湾台風は紀伊半島に上陸し、東海地方を中心に死者・行方不明者5098人と大きな被害をもたらしました。
今回、新たに見つかったフィルムに映っていた現場を、前田さんと訪ねてみました。あの大木が倒れていた赤星神社です。
前田さん:
「この辺だと思うよ、赤星神社。フェンスに変わっちゃっとるわ、石垣だったでね。風がものすごかった。ドアを押さえとらんと飛んじゃう」
街は大きく変わりました。
前田さん:
「この辺に自分の家があった。もう何もあらへん、湖みたいになっちゃった」
実家があった周辺で、当時を知る人たちに話を聞きました。
住民男性:
「あの時は17歳か18歳だった。ここまで水が来た。家の前はずっと田んぼだったからね。風は強かったね。雨より風だわ。すごい勢いだったね」
前田さんの同級生:
「瓦がどんどん飛んでしまって、ガラガラとめくれてね。二抱えのケヤキの木が倒れて。家も屋根が落ちとったけどね」
当時、名古屋港近くの貯木場から大量の丸太が流れだし、人を巻き込み多くの住宅が倒壊しました。
■週末に資料館で上映へ…風化させてはならない未来への教訓
前田さんの父親が撮影した映像には、河川敷で土のうを積む人の姿が映っていました。新川か庄内川の河川敷とみられます。
前田さん:
「様子が変わっちゃった。南区の友達は、家に帰ったら両親がいなくて、聞いたら『亡くなって、そこらの死体置き場に積んであるんじゃない』と」
映像を見て、前田さんの65年前の記憶が甦りました。
前田さん:
「親孝行できなかったもんで、父親の道楽(8ミリ撮影)が皆さんに見てもらえると思って、うれしく思っています」
想定外といわれる災害が相次ぐ今、映像には風化させてはらない未来への教訓があります。
大府市歴史民俗資料館では、今回見つかった映像を9月28日と29日に、館内で上映することにしています。