10月9日、衆議院が解散し、事実上の選挙戦が始まりました。岐阜県は“保守王国で”、3年前の選挙では、全ての選挙区で自民党が議席を独占しました。

裏金問題で今回の選挙では野党にチャンスともいえる風が吹いていますが、毎回自民党の野田聖子さんが圧倒的な強さを見せる岐阜1区では、野党第1党の立憲民主党は候補者のめどが立たず、選択肢の幅を示せない可能性があります。

■「諦めムードが広がっている」…岐阜1区で候補者のめどが立たない立憲

 前回2021年の衆議院選挙は岐阜県では、1区から5区の全選挙区で、自民党が議席を独占しました。

野党は比例復活さえできず、“保守の牙城”「岐阜」の厚い壁が、立憲民主党に立ちはだかっています。

【動画で見る】“裏金問題の震源地”のはずが…立憲民主党に保守の牙城『岐阜』の厚い壁 岐阜市全域の1区候補者まだ決まらず

10月1日、立憲民主党の会合。岐阜県連の今井雅人代表は、自身も前回の総選挙で敗れ、比例区でも復活できず、議席を失った1人です。

ただ、今、頭を悩ませているのは、自分の選挙のことだけではありません。

立憲民主党 岐阜県連の今井雅人代表:(10月1日)
「今、空白となっております1区のところも、最後まで諦めずに候補者の擁立を目指してまいりたいと。そのことによって、自公政権を過半数割れに追い込んで、私たちの政権を作っていきたい」

岐阜市全域が選挙区の「岐阜1区」は、公示まで1週間を切ったにもかかわらず、立憲民主党の候補者はまだ決まっていません。

過去4回の衆院選では、自民党の野田聖子議員が圧倒し、特に前回は自身最高の10万3000票余りを獲得して、立憲民主党の候補にダブルスコア以上の大差をつけました。

しかし、それが立憲民主党の候補者の選考の壁になっています。

今井県連代表:(10月6日)
「地元で出すのが1番。でもそれがなかったら落下傘もやむなしってやっているんですけど、地元は現状正直難しくて。名前が全く挙がっていないわけじゃないんですけど、出るというところまでなかなか至っていない」

10月6日、立憲の野田佳彦代表は岐阜県可児市で演説し「政権交代こそ最大の政治改革」と“政権交代”を訴えましたが“不戦敗”になる可能性があります。

今井県連代表:
「それは僕はすごい責任を感じていますよ。特に県都の岐阜市の1区で(候補者を)立てられてないという現状は、本当に1区の有権者の皆さんに申し訳ないなという気持ちですね」

Q候補者を立てられていない原因は
「岐阜県は自民党が強い保守王国なので、『どうせ出たって勝てないし』という諦めのムードが広がっている部分があるんじゃないかと思うんですね。だからみんな、なかなか手を挙げない」

■野田代表が訪れ“裏金問題”指摘しながらも候補者は「県連と相談しながら」

 今回の総選挙で“最大の争点”となっているのが「裏金問題」です。

2024年1月、岐阜県選出の旧安倍派、大野泰正参議院議員が5000万円を超える裏金を受け取り、不記載だったとして在宅起訴されました。

“裏金事件”では「岐阜県」も震源地のひとつです。

立憲の野田佳彦代表も6日に可児市を訪れた際に指摘していました。

立憲民主党の野田佳彦代表:(10月6日)
「裏金事件というのは、事実上の脱税事件じゃありませんか。企業団体献金の禁止、政策活動費は廃止、不正の温床になるものに、しっかりとメスを入れる」

などと、裏金問題を追及したほか…。

野田代表:
「元々自民党王国ですから、そこに風穴を開けていくために4区と5区と、いい候補がいますし、(岐阜県は)世襲ばかりのところなので、なおさら政界へのリクルートが固定化されていますので、その意味からも意味のある岐阜県だと思って参りました」

しかし…。

Q裏金で岐阜県も震源地ですが、岐阜1区で立憲の候補が立ってない。有権者に政党を選ぶ権利を奪っている行為ではないのかという声もある 
野田代表:
「県連からあがってきた人たちを選んでいくというのが、基本的なプロセスですので、県連とご相談しながら進めています」

と述べるにとどまりました。

■“立憲がいない”岐阜1区…他党の立候補予定者たちは

 こうした状況に受けて立つ自民党の野田聖子さんは…。

自民党の野田聖子前衆議院議員:(10月5日)
「それは各党の判断で、自分はいつも厳しいと思って戦うので。今回もだからどうという自分の心境の変化はないんですけど」
Q気にしてはない?
「立憲の動きとか?気にするけど、それで自分がどう戦うとか変わることはないので、いつも全力で頑張るだけなんで」

そして、岐阜1区から立候補予定の共産党の山越徹さんは…。

岐阜1区に立候補する予定の共産党 山越徹さん:(10月7日)
「とにかく今度は自共対決ということでね、真正面から自民党政治を正せるのは共産党しかないんだということで、党派を超えて私の日本共産党へということで訴えていきたいと思います」

■少ない選択肢 有権者の印象は

 岐阜1区が選挙区の岐阜市の有権者にも話を聞きました。

岐阜1区の有権者の男性(80代):
「野党が出ないかんことは事実やけども、野田さんに迫るぐらいの人が出ないことには、それが育っていないもんで、余計に選挙に興味がないというのか」

岐阜1区の有権者の女性(70代):
「もうひとつ選択肢があるといいなとは思っていますけど。2人だけではちょっとね。選挙そのものは行かなければと思って義務感もあるから関心はありますよ。だけど、選ぶときにまたものすごく悩むんじゃないかなと思いますね。選択肢が2つしかないということは悩みます」

総選挙の公示は10月15日、立憲民主党は岐阜1区に候補者を擁立することができるのでしょうか。

2024年10月10日放送