どうやったらかわいい姿で運べるのか…SNSで話題の『ぴよりんチャレンジ』製造工場で“耐久性”を調べてみた
名古屋みやげの定番となった「ぴよりん」を、崩れないように持ち帰る、いわゆる「ぴよりんチャレンジ」では、SNSに無残な結果が画像とともに多くアップされています。
ぴよりんを「かわいい姿」のまま運ぶ方法について、日立製作所が研究した結果を公開し、話題になりました。
■なぜ“日立製作所”が…ぴよりんチャレンジを科学的に分析
SNSでお皿にもたれかかったり…。
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転倒したり…。
つぶれかかったり…。
様々な画像が投稿されている「ぴよりんチャレンジ」。
メーカーの日立製作所が「かわいい姿のまま運ぶにはどうすればよいのか」について、科学的に分析しました。
その結果、振動が「横揺れ」の場合は、回転しながら意外にも原型をとどめることができますが、「縦揺れ」では、跳んだり衝撃で割れてしまうなど、弱いことがわかりました。
日立製作所はこのほか「偶数で買って箱に隙間がないようにしたほうがいいのではないか」「専用の保冷バッグで水平に持つ」、それをゆっくり持って歩くということが大切としています。
■ぴよりんはどうやって作られているのか 工場に潜入
この日立製作所の分析結果を見て、私たちは9月19日、ぴよりんの製造工場を訪れ、ぴよりんができるまでを見て、耐久性について研究しました。
工場は、愛知県春日井市にある「ぴよりんショップ」の裏手にある「ぴよりんアトリエ」です。
初めに見えた大きなボールでかき混ぜているのは「ババロア」です。
卵黄や牛乳、生クリームなどを合わせて、ゼラチンで固めたババロアの中に、今度は「プリン」が入りました。
名古屋コーチンの卵で作ったプリンを、冷凍して投入しています。
ぴよりんアトリエの従業員:
「実際に食べるときには、普通のプリンぐらいの硬さにはなっているかなと思います」
やわらかいババロアの中に、やわらかいプリンという組み合わせのため、やはり形が崩れやすいのは否めません。
従業員:
「硬いほうが、崩れにくくはなるかもしれないんですが、自分たちが目指している味とは違ってしまうので、美味しく食べていただくためにプルプルは譲れないかなと思います」
かわいらしさも重要ですが、最優先は味です。
■誕生当時はもっと“弱かった”…成長のきっかけは「テイクアウト」
ぴよりんは2011年に誕生し、当時はイートインのみで、ババロアの部分は「バニラムース」だったといいます。
テイクアウトの需要を受けて、より強度が高いババロアに変えていました。
いまは誕生した時より“耐久性”は向上しています。
■敷かれたスポンジのジレンマ
このあと胴体の部分がスポンジと合体しますが、これは耐久性の面で重要な工程です。
ババロアの下に台座のスポンジを敷き、ババロアにはスポンジを粉状にした「羽毛」をまとわせました。この下に敷いたスポンジがポイントです。
従業員:
「衝撃はちょっと緩やかにしてくれるかもしれないんですが、逆にスポンジがあることによって動く」
座布団的な役割をするスポンジは、衝撃吸収の役割は果たすものの、動いてしまいやすいという難点もあります。
従業員:
「高すぎちゃうとコケやすくなるし、薄すぎるとスポンジ自体が崩れやすくなってしまうので『1cm』の高さでやっています」
約1センチ、絶妙の厚みでぴよりんを衝撃から守っていたことがわかりました。
仕上げにチョコでできた目や、ホワイトチョコを伸ばした羽を付けます。
従業員:
「刺しているので、耐久性ちょっと微妙になっちゃうかもしれないですね」
目や羽、トサカなどを直接ババロアに刺しているため、強い衝撃で、刺したところから亀裂が入る危険性もあるといいます。
こうしてぴよりんが完成、ずらりと並ぶ様子は圧巻です。
この工場は2024年2月から稼働し、以前より2倍近いぴよりんを作ることができるようになったといいますが、手作業のため数は限られるということです。
■失敗しませんから…ぴよりん職人たちは自信満々
誰よりも見てきた職人たちは、ぴよりんを崩さずに運ぶことができるのでしょうか。
従業員:
「成功しました。わたしはちなみに一回も崩したことないです」
従業員の方々は、成功している人ばかりでした。
従業員:
「結構『温度』が重要だと思います。温かいところとか、膝のうえに置いていると下からじわじわと温かくなってしまうので、できるだけ涼しいところに持っていってあげると(ぴよりん的に)ありがたいです。下にも手を添えて、この体勢を保つようにしたりとか、衝撃がいかないようにしています」
そして最後のアドバイスとして「愛情をこめて持って帰る」と話していました。
2024年9月20日放送