日本の『伝統的酒造り』ユネスコ無形文化遺産に登録へ 江戸時代創業の酒蔵「世界に羽ばたくきっかけに」
日本が世界に誇る「伝統の酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録される見通しとなりました。昔ながらの手作業にこだわる老舗の酒蔵からは、期待の声が上がっています。
■江戸時代創業の酒蔵「世界にはばたくきっかけに」
愛知県常滑市の澤田酒造は創業176年の老舗の酒蔵で、麹作りも手作業にこだわり、杜氏が丹精込めて仕上げています。
醸造する「白老」は、地元の湧き水を使い、豊潤でコクのある味わいが特徴です。
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清酒の販売量の減少が続き、原料のコメが高騰するなど厳しい環境が続く業界に、久々に明るいニュースが届きました。
11月5日、日本の「伝統的酒造り」をユネスコの評価機関が無形文化遺産に登録するよう勧告したのです。
澤田酒造の澤田薫社長:
「今回の登録をきっかけに、日本酒がもっと多くの方々に飲まれていく、そして世界に羽ばたいていくことをとても期待する一方で、日本国内の人にももう一度、日本酒に目を向けていただくきっかけになるのではないかなと」
日本酒を愛する人々が集まる、名古屋・栄の地下街にある立ち飲みの店でも、喜びの声が聞かれました。
客:
「いいと思います。(無形文化遺産に)『和食』も入っていますし。日本酒って造り方が独特ですからね、世界的に見ても。誇れるものだと思います」
別の客:
「誇りですよね。日本酒って文化なので、もっともっと若い世代とかにもなじんでいって、広がっていくといいなと思います」
■「発酵王国」日本が誇る“独自の技術”
世界でも日本の酒造りは高く評価されています。
日本酒は、原料の米に含まれるデンプンを糖分に変える糖化と同時に、発酵してアルコールになります。糖化と発酵を同時に行うのは世界でも珍しく、高い技術と経験が必要とされます。
各地の気候や風土に合わせてつくられるのも、日本酒の大きな特徴です。
澤田社長は、今回の無形文化遺産への登録が、観光などへも波及することに期待を寄せます。
澤田社長:
「知多半島は、江戸時代には日本で2番目に大きな日本酒の産地だった場所なんですね。日本酒はもちろん、その副産物からできたお酢造りや、西三河のみりん醸造など、お酒と切っても切れない関係の醸造産業がいっぱいある。地域の特性を味わう、旅をしながら楽しむことも多くの人に伝えたいなと思っています」
日本の「伝統的酒造り」は、12月にパラグアイで開かれるユネスコ政府間委員会で、正式に無形文化遺産に登録される見通しです。