紙の保険証廃止まで半月余り…『マイナ保険証』への理解に遅れ 医療従事者が“2025年7月”を心配する理由
2024年12月から紙の保険証は廃止され、新たに発行できなくなります。政府はマイナ保険証への一本化を進めていますが、医療の現場にも利用者にもまだまだ不安の声があるようです。
■まだ不安の声も…増えるマイナ保険証の利用者
愛知県あま市の「すぎとう歯科クリニック」。窓口で患者が提示したのは「マイナ保険証」です。マイナンバーカードを健康保険証としても利用できます。
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このクリニックでは、マイナ保険証の利用者が2、3か月前は1日1人か2人でしたが、最近では1日5人以上に増えたといいます。
78歳男性:
「(従来の)保険証はほとんど使っていません。マイナ保険証を利用しています」
まだまだ不安の声もあります。
71歳男性:
「(使っているのは)紙の健康保険証。不具合がマイナ保険証では生じるとか、カード自体も受け付けやる時にトラブルがあるようなことを聞いたので。両方使えれば一番いいんじゃないですか、どちらか決めるよりも」
■予想される混乱も…紙保険証の新規発行は12月2日で終了
政府が推し進めるマイナ保険証への一本化、2024年12月2日から従来の紙の保険証は廃止され、新たに発行できなくなります。
立憲民主党は11月12日、従来の保険証を発行できる期限を延長する法案を提出しましたが、政府は12月2日に廃止する方針に変更はないとしています。
もしマイナ保険証がなくても、従来の保険証の代わりに「資格確認書」を発行するとしていますが、医療機関では混乱が予想されます。
すぎとう歯科クリニックの杉藤庄平院長:
「事務作業は増えると思いますね。資格確認ができない方がいらっしゃって、(健保組合などに)問い合わせたりとか、名前がちゃんと出てこなくて患者さんに聞いたりとか、いろいろしなきゃいけないケースが結構あるので」
まだまだ慣れないマイナ保険証、当初はカードを読み取れないなどのトラブルが相次いだといいます。
そして、杉藤院長が心配するのは2025年7月です。国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入する人の多くが、保険証の有効期限を迎えます。
杉藤院長:
「あまりにも急激過ぎるので、使う方が急激に増えるのは医院としても困ってしまいますので、できれば5年10年かけて少しずつ増えていくような形が医院側としては望ましいと思っています」
■調剤薬局や利用者からはメリットもデメリットも
薬を処方する調剤薬局では…。
大島薬局の管理薬剤師の大橋弘治さん:
「他の医療機関や他の薬局さんでもらっているお薬がこちらでも分かるようになりますので、かぶってしまうお薬とかがないように、こちらとしても確認できます」
現在この薬局では全体の2割ほどが、本人確認などのためにマイナ保険証を利用しているといいます。
今後は他の薬局でどんな薬が出されたかなども把握し、よりスムーズに処方ができるとしていますが、賛否の声があがっています。
大橋さん:
「患者さんご自身は(マイナカードを)もしなくしてしまったりすると再発行に時間がかかるので、再発行までに利用できないとかはありますね」
利用者:
「慣れたらいいんじゃない。他の病院のもマイナンバーカードで登録されていれば、薬剤師さんが分かれば質問しやすいわね」
別の利用者:
「普通の保険証だと月に1回なんですけど、これは毎回同意して『医療情報の提供』をやらなきゃいけない、それは確かに面倒くさいなと」
従来の保険証の廃止まであと半月あまり、マイナ保険証への理解はまだまだ遅れているようです。