2024年11月17日、投開票された兵庫県知事選では、失職した斎藤元彦さんが再選を果たしました。斎藤さんは勝因のひとつに「SNS」の影響をあげましたが、24日に投開票される名古屋市長選挙でも、各候補者が戦略的に使っています。

■勝因に「SNSのプラス面感じた」…失職の斎藤元兵庫県知事が返り咲き

 自らの失職に伴う兵庫県知事選挙で、およそ111万票を獲得し当選した斎藤元彦さん。「再選は厳しいのでは?」という声もあった中、返り咲きを果たした要因としSNSを挙げました。

【動画で見る】兵庫県知事選では斎藤氏返り咲きの追い風に…『選挙とSNS』11/24投開票の名古屋市長選でも各候補が注力

兵庫県知事選で再選した斎藤元彦さん:
「応援してくれる方がSNSを通じて広がるんだと、SNSのプラスの面をすごく感じたところです」

SNSを追い風とした支持の広がりについて、専門家に聞きました。

愛知学院大学の森正教授:
「東京都知事選からだと思いますけれども、SNSを巻き込む形で支持を集めて躍進したと。非常に短時間なんだけれどもキャッチーなフレーズを作って、その動画を編集してSNS上で拡散していく。ネズミ算的に増えていくような戦術で、非常に多くの支持や訴えを拡散させることに成功した」

■名古屋市長選での活用は…河村前市長の後継は“河村さんを前面に”

 11月24日の日曜日に投開票を迎える名古屋市長選挙では、過去最多に並ぶ7人で争う選挙戦を制するため、各候補はSNSをどのように捉え、活用しているのか。

“河村前市長の後継者”を名乗る広沢一郎さんのXでは、多くの動画に広沢さんの隣には河村さんの姿がありました。

河村さん同様、18日も自転車で街を回っていた広沢さんに戦略を聞きました。

広沢一郎さん(11月18日):
「もちろん登場させますね。河村さんが登場するとそれだけで注目を浴びますし、例えばYouTubeとかだと、河村さんのサムネがあるとないとではやっぱり食いつきが違いますので」

「我こそが、名古屋で選挙に勝ち続けた男の後継者なり」。最大のアドバンテージと捉え、SNSでも強調します。

広沢さん:
「ユーチューバーの方々が独自に発信されることも、結果としては選挙のプラスになるかなと思っています」

再生回数が見込めると判断してか、街頭活動を追いかけるユーチューバーによる配信も追い風にしているといいます。

■大塚さんのSNS戦略は“短尺”と“リアル”

 名古屋のアップデートを呼び掛ける大塚耕平さんのXは、さわやかなBGMとともに街頭を回る大塚さんの様子を、毎日短い動画でアップ。

告示前から、名古屋について歌った音楽に合わせてダンスする姿も披露していました。

大塚さんのSNS戦略は…。

大塚耕平さん(11月18日):
「(選挙戦が)始まるまでは、自分の考えていることを、できるだけご理解いただけるようなコンテンツを作って展開するということに重きを置いていました。今は街頭演説とかでお話しする内容をできるだけリアルに見ていただくということに重きを置いてやっています」

演説の内容は、Xでコンパクトに切り抜いたり、YouTubeも含めてライブ配信に対応し、会場に足を運べない有権者に声を届けています。

■子育て中の女性を意識し夜のライブ配信も…尾形さん「とても重視」

 現状の市民税減税の見直しを訴える尾形慶子さんも、SNSをフル活用しています。

尾形慶子さん:
「SNSはインスタグラム、Tiktok、X、フェイスブック、YouTube。期間も短いので、SNS戦略はとても重視しています」

子育て支援や介護保険料の引き下げなどを訴える尾形さんは、子育て中の女性の生活リズムを意識して、彼女たちがスマホを見始める午後9時から30分間、ライブ配信し、SNSの双方向性を活用しています。

尾形さん:
「実は、国民民主党の玉木さんが拡大選対を3日に1回ぐらいやっていると新聞で読んだので、いいなと思って」

勝利のためなら、衆院選で飛躍した陣営の手法も参考にします。各候補が力を入れるSNS戦略。その手法は吉と出るのか。

名古屋市長選挙には、元会社員の太田敏光さん(76)、旅行会社経営の水谷昇さん(61)、元大学講師の不破英紀さん(64)、旧自治省元職員の鈴木慶明さん(85)の4人も立候補しています。

名古屋市長選は11月24日の日曜日投開票です。