プロ野球の契約更改が続いています。活躍し、大幅に年俸が上がる選手や思うような結果が残せず、減俸になる選手もいますが、昭和や平成に行われた中日ドラゴンズの契約更改を振り返ると、選手の本音も垣間見えました。

■「ショックで震えることって…」侍ジャパン監督の井端弘和さん怒りの記者会見

 現在の侍ジャパンの監督、井端弘和さんは2005年シーズン、2番ショートとして全試合出場し、打率3割2分3厘と文句なしの活躍を残しましたが…。

【動画で見る】落合博満さん「いちろくご」と明言…昭和ー平成の契約更改 会見で見せた選手の本音 侍J井端監督は温度差に「ショックで震えることって…」

井端弘和さん:(2005年シーズンの契約更改記者会見)
「(サインを)しました。自分の希望ではなかったんですけど、これ以上やっても無駄かなと思ったので」

「これ以上やっても無駄」と不満をあらわにした井端さん。2億1000万円とされた希望額に対し、球団の提示額は1億7500万円と大きな開きがあり、記者会見場は重い空気に包まれました。

この会見は、一度保留した後の2回目の交渉の後の会見で、1回目の会見では「ショックで震えることってあるんですね。金額を見た瞬間、足がガタガタして10分間くらいは無言でした」と話していました。

その後、交渉の末、上乗せされ、推定2億円となりましたが、希望額に届かなかったということで、不満は消えませんでした。

■井上一樹新監督も25年前には渋い顔?

 2024年のシーズン終了後からドラゴンズの新監督に就任した井上一樹さんは現役時代、外野手として活躍しましたが、25年前の契約更改会見では…。

井上一樹さん:(25年前の契約更改記者会見)
「(サインを)押しましたよ。青写真ではもうちょっともらえるかなと思っていたんですけど、やっぱりちょっと届かなかったですね」

過去最高額ではあったものの「意外と低かった」といつも明るい井上さんも、少し渋い表情でした。

■代表やメジャーでも活躍…福留孝介さんは「良い評価は言葉ではなく数字で」

 ドラゴンズだけでなく、メジャーやWBC日本代表としても活躍した福留孝介さんは、2006年の契約更改の会見で、ある言葉を残しました。

福留孝介さん:(当時の契約更改記者会見)
「(サインは)していません。言葉で良い評価と言っていただいても、僕らはそれが数字に出ないことには、言葉だけでは寂しいものもあるし。自分から簡単に降りていく気はないと」

福留さんのポリシーは「誠意は言葉ではなく数字、すなわち金額で決まる」というもので、球団にはその思いを貫きました。

福留さんは当時の記事によると、新潟中越沖地震や東日本大震災が起きたときに、公表せずに億単位の寄付をしていたといいます。

「誠意は言葉ではなく金額で決まる」、球団に求めた厳しい姿勢は自らにも貫き通していました。

■選手としても監督しても超一流 落合博満さんははっきり明示

 現役時代、日本プロ野球唯一の3度の三冠王、そしてドラゴンズの監督として、53年ぶりの日本一にも導いた落合博満さんは、契約更改の場面では、はっきりとものを言う姿が目立ちました。

落合博満さん:(1988年の契約更改記者会見)
Qサインは
「しました」
Q金額は
「だから1億3000万円。うん、こんなもんじゃないですか」

翌1989年は、打点王のタイトルを獲得しましたが…。

落合さん:(1989年の契約更改記者会見)
Qきょうは保留した
「はい。金額の提示っていうの、自分の思っている金額と球団が出してくれる金額のね、やっぱり若干開きがあるっていうことで。だから数字に関して今日はここでは、いくらということは一切言いません。契約した時点でだいたい、皆さんの大好きな推定いくらいくらということを言わせていただきます」

そして、年明けの2回目の交渉の結果。

落合さん:
「終わりました」
Qサインは
「しました」
Q提示額は
「この前言っていたもんね。いちろくご」

1億6500万円は当時の日本人選手の最高年俸ですが、金額をはっきりと言うことには、理由がありました。

落合さん:
「アメリカでは4億という声も出ているくらいだから、早く日本の選手も2億3億という声を聞けるような下準備はできたんじゃないかなと」

自分の年俸が上がっていくことで、後輩たちの分を底上げしていきたいという思いから、落合さんは年俸を明示していました。

■2024年の抱負を「キックバック受け取りたい」と書いて怒られたドアラ

 そしてドラゴンズのマスコット、ドアラの契約更改記者会見はいまやシーズンオフの風物詩です。

2年連続最下位となった去年2023年、いつもどおりの画用紙に書いたのは…。

ドアラ:(画用紙に書く)
「2年連続最下位 試合イベント休む 自分からダウンを提案」

自らダウンを提案し、推定・食パン500グラムでサインしました。2023年のこの頃は、自民党の裏金問題が大きな話題となっていて2024年シーズンについての抱負が…。

ドアラ:
「たくさんパーティーをしてキックバックを受け取りたい」

司会:
「書き直してくださいね(怒)」

司会に怒られました。2024年、ドアラはどんな契約更改をしてくれるのでしょうか。

2024年11月15日放送