寒い冬に欠かせない「みかん」の価格が高騰しています。その背景には、夏の雨不足や長引いた暑さが関係していて、農家も頭を悩ませています。

■仕入れが2~3割高いため…例年の半分のサイズでケース販売

 愛知県瀬戸市のスーパー「新鮮市場いせや」では、静岡の三ヶ日みかんが5キロで2160円、愛媛ミカンが5キロ1080円と、いずれも2023年よりも2割から3割ほど高値になっていました。

【動画で見る】暑さや雨不足等が原因…年末年始に需要高まる『みかん』不作で価格が上昇 前年比で2-3割ほど高値のスーパーも

新鮮市場いせやの福丸明男社長:
「今年はどこの産地も収穫量が少なくなってしまいまして。安くお客さまに提供させていただきたいんですけど、仕入れ自体が2〜3割高いものですから」

例年は10キロのケースで販売していたみかんを、2024年は半分の5キロケースにし、客が買いやすいようにしたといいます。

客:
「まあしょうがないわね。安くなって欲しいけど、そういうわけにもいかないでしょうし」

別の客:
「高い、でも買う。やっぱり食べたいから」

新鮮市場いせやの福丸明男社長:
「みかんの出来は決して悪くなくて。今年はちょっと小ぶりなもの、小さめのみかんが甘くておいしいと、どこの産地もそのようにうかがっています。今後、年末年始に向けてさらに需要が高まりますので、値段が下がることはまずございませんね」

■価格上昇の背景に「暑さ」と「雨不足」

 愛知県東海市のみかん農園「宮田農園」では、みかんに日光が直接当たり過ぎてしまったため、形が平たく変形してしまい、水分の少ない出来となっていました。

また、例年収穫される鮮やかなオレンジ色に比べると、やや黄色っぽくみえるものもあります。

葉が少なくなってしまった苗木の姿も目立ちました。こうした異変の原因にあげられるのが、2024年の「暑さ」と「雨不足」です。

柿崎さん:
「ことしは温暖化の影響か、11月になっても最低気温がなかなか下がらない、結構暖かい日が続きました。みかんの色づきは最低気温が下がることによって進むんですが、十分な寒さが来ないために色づきが遅れています」

宮田農園で多く育てられているミカン「宮川早生」は、糖度が高い上、程よい酸味があるのが特徴です。しかし2024年は、成長が遅れて甘みが伴わずに酸味が残っているものが多くありました。

さらに、7月の雨不足から一転、8月は台風で大雨となり実が急成長するも皮の成長が追いつかず、1割以上の実がはじけてしまったといいます。

その上、2024年はカタツムリが大量発生し、多くのみかんが食べられて腐ってしまいました。今シーズンは20トン収穫できる想定が、2割以上減る見込みだということです。

雨不足の影響で、例年よりみかんが甘くなるという効果はあったものの、天候のせいで収穫が減ってしまっているため、この先も農家の不安は尽きません。

柿崎さん:
「みかんにとっては非常に耐えがたい、苦痛の一年だったと思います。こうした日差しの強い地域に適した品種に変えるとしても、収穫ができるのは10年後ですとなった時に、それをやれるだけの余裕がある人はなかなかいないんじゃないかなと思います」

■みかんの高値はこの先も続くのか



 名古屋市の北部市場などで果物の卸を行っている「セントライ青果」によりますと、市場で扱うみかんは今はほとんどが早生みかんということですが、猛暑の影響で価格が上昇傾向です。愛知県産が32%アップ、静岡県産は35%アップと、例年に比べ大幅に高くなっています。

この先の入荷量は、例年に比べて少ないまたはやや少ないということで、みかんは年末に向けて需要が高まることから、価格も高くなりそうです。

みかんの他に、柑橘類・りんご・柿などは、猛暑に加えてカメムシの影響で高くなっているとしていて、セントライ青果の伊藤淳さんは「20年間果物を扱っているけど、こんなことは初めて」と話していました。